ISBN4-06-207919-4
1999年/講談社
1800円+税
368頁/四六上製
装幀:多田和博
装画:西口司郎
妊娠すると食べ物の嗜好がかわるというけれど、本の好みもかわりました。あんなに絶賛していた車谷長吉なんて絶対に読む気がしない。近所の図書館には、大好きな筒井康隆も充実しているというのに、これまた今一つ手がのびない。人からきいたり、書評を読んだりして気になっていた本は手帳に控えてあるのだけれども、それを眺めてもどれもピンとこない。かくして図書館に行ってもなかなか借りる本が決まらずに、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと時間ばかりかかります。図書館は暑い中歩いて行くにはちょっと辛い距離にあるので、家人に車で乗せて行ってもらうのだけれども、本を読む習慣があまりない家人は待っている間とても暇そう。なので慌てて適当に手近な本を借りてみるのだけれども、いざ読みはじめると「こういうのが読みたかったんじゃない〜」ってことになったりして。のんびり本を読めるのも今のうち、となんか気ばかり焦ってなかなかこれという本に出会えない。
本に限らず、ゲームもしなくなった。時間潰しに入ってみたソフト店で大好きなTomb Raiderがいつのまにか5まで出ているのを発見(私は3までしか持っていない)。このゲームは主人公の女性が宝を探して謎を解きながら探検するものなのだけれども、舞台となるのが遺跡だったり、南の島だったりして、それがなかなか雰囲気があって気にいっていた。でもやる気が起きなくて結局買わずじまい。まあ銃で撃ったり、落下して死んだり、とあまり胎教にはよろしくないと思われるけれども、特にそういうことを意識しなくても手がのびないのは、もしかして胎児に操られているんだろうか。
で、この本を読んでいる間中、帯に大きく書いてある
私は子供を捨ててもいいと思ったことがある
っていう一文が気になって仕方がない。電車の中などで読んでいると「あの人、妊婦のくせにあんな本読んでいるよ」という非難の目が向けられているような気がしてきて(そんなわけないんだけど)なんか落ち着かない。なのでコソコソと読んでいました。
コソコソ読むにはけっこう厚い本なんですが、読み始めはミステリだと思っていました。子どもの失踪事件から始まるのだけれども、その母親と、その子の失踪時に滞在していた別荘の持ち主とは不倫関係にあったり、母親は10代で家を飛び出してそれきり音信不通にしている家出人であったり、といろいろといわくありげな人物であることがわかる。途中から若くして末期癌のために退職した刑事と一緒に子どもを探すことになったりもするのだけれども、この刑事が死ぬ前に犯人の夢を見たりして、でも結局それが本当の犯人かどうかもわからず、というわけで決してミステリではない。かといって内面に迫る本かというと、主人公である母親はちょっと変わった人、という感じだし、刑事にしてもやはりまた変わり者で、しかも若くして死にゆく人の心境というのも今一つ伝わらなくて、誰にも感情移入できないまま読み終わってしまう。死んでしまう刑事、不倫が夫に知れて家にかえらない母親、その夫、姉を探し続ける母親を見てきた妹、不倫相手の男も妻子と別れて風俗嬢のヒモ暮らし、と誰も救われないまま終わってしまい、なんとも後味が悪い。
この作家の本を読むのは初めてだったのだけれども、なんとも楽しくなかったので、やはり次は話題作の『OUT』を読まないとダメかしら。
about bookdesign...
なんとも恐い。イラストも恐いし……これじゃあホラーだ。