ISBN-4103808039
1998年/新潮社
1300円+税
228頁/四六上製
装幀:安西水丸
江國香織という人はもっと甘ったるいラブストーリーなどを書くのだと思っていました。辻仁成との合作……ではなくてああいうのはなんて言うのだろう、ともかく『
冷静と情熱のあいだ』は読んではいないけれども、そういう試み自体がなんか甘ったるい。単行本を読むのは本書が初めてなのだが、以前、幻冬舎のPR誌「
星星峡」に連載されていた「スイート・リトル・ライズ」でのテディベア作家の妻と会社員の夫の生活は、ラブリーな調度品に囲まれた甘ったるいもので、でもそれぞれがいかにもな相手と不倫をしていて……っていうちょっといらいらさせられるようなものだったし。
ところが本書はそういったイメージとは全く違った。短編集なのだが、どれも少女時代のちょっとぞくっとするような思い出が描かれている。夏休みの旅先で知りあった子に、自分がおしゃれな学校に通っていて人気者である、というような嘘をついてしまうとか。そして交換した住所は帰りの電車で捨ててしまい、その後手紙が来ても返事も出さず。こういう残酷さってなんかとても女の子っぽい気がする。実際にこれに近いようなことを私もやったことあるし。だから読んでいるとどこか懐かしいような、それでいて思い出さなくてもいいことを思い出してしまう居心地の悪さを感じるような、なんか落ち着かない気分になるのでした。