ISBN-4120023869
1994年/中央公論社
1100円+税
四六上製/220頁
カバー原画:智内兄助「催青」
装幀:中島かほる
なんていいタイトルなんだろう、図書館でこの本を見かけるたびにそう思っていました。なのになかなか読むに至らなかったのは、なんともおどろおどろしいカバーのせい。
ようやく読み始めてみて、素敵なタイトルの出典は夢二だとわかる。物語は、中年になった主人公が子どもの頃住んでいた村に行き、なんとも恐ろしい回想から始まる。いつも思うのだけれども、久世氏の文章は美しくて恐ろしい。そして女性が虐げられる場面が多くて、ここでは狂女が少年たちに輪姦される、しかも村中の男が彼女とそういった関係にある、というなんとも痛ましい(しかし昔には現実にあっただろうと思われる)場面が描かれているのだけれども、そういったことをあまり不快に思わずに受け止められるのは、その文章の美しさのせいに違いない。木々や狂女の着物の柄などがあまりに鮮やかに描かれているので、幻想的な美しい光景のようにさえ思えてしまう。
その美しい文章が、狂女の死の恐ろしい真相をだんだんと明らかにしていくのは引き込まれるように一気に読んでしまうのだけれども、急に現実離れしていくラストはちょっと頂けない。読み終わって、なんとも消化不良というか、落ち着かない気分。
about bookdesign...
久世さんの本のデザインはどうもどれも気に入らない。この本のカバーの絵もなんとも恐ろしくて、横溝正史シリーズみたいだ。