ISBN-478971330X
1998年
ソニー・マガジンズ
1800円+税
672頁
イラスト:森本晃司
装丁:花村広
ソニー・マガジンズというとタレント本やらゲーム攻略本やらのイメージが強かったのですが、なかなかどうして、翻訳書籍も頑張っています。翻訳モノにしては値段も手ごろだし、新しい作家を次々紹介しているし。売れている『
ブリジット・ジョーンズの日記』もここですね(私はあまり面白いとは思えなかったのだけれど……でももうじき出る続編は面白そう)。で、この会社の翻訳モノは面白い!と思うキッカケになったのが本書。実はこの本、頂いたのですが、最初は全然読む気が起きなかった。その第一の理由は帯のコピー。「あなたのバイオ・サスペンスを凌駕する戦慄の黙示録!」に加えて、デザインも。表紙4色、カバーは穴あり箔押しあり、というお金のかけようなのですが、防毒マスクの顔やら骸骨やら、心臓のようなものやらが燃えていたりするようなイラストとこの帯コピーとで、すっかりバイオ・パニックものだと思い込んでしまいました。流行りのバイオハザードで町が壊滅状態とかになって、勇気ある科学者、それも男女が立ち上がり……とアクションありラブシーンありのハリウッド映画みたいなものに違いない、と。
それがたまたま手元に他に読むものがないというだけの理由で読み始めたのだけれど、面白いことといったら! 電車は乗り過ごすは、夜はなかなか寝られないはといった感じで672ページを一気に読んでしまいました。ネタバレにならない程度に内容を紹介しますと……最初の舞台はアメリカ、ロングアイランド。ここで謎の微生物(その正体はすぐに明らかになるのですが)が大発生し、住民は一夜にして死滅してしまう。同時期に世界各地で生物の異常発生がおこり、人類は食糧危機に見舞われる。その謎を生物学者たちが解明する……と、こんな紹介の仕方では帯文を笑えなくなってしまいますが、この本のすごいところは、著者があらゆる分野の学者たちからアドバイスをうけていること。本書の最後に「リアリティ・チェック」と題して、あとがきを載せているのだけれど、これを読むと『ダスト』の世界は現時点ではフィクションであるけれども、将来的にはおこりうることなのだと、恐怖を感じる。作中でコウモリによって死亡する熱帯動物学者ビル・シャット氏は実在するコウモリの研究者で、作中での死に方は本人の要望なんだそう。そういった学者が支持しているわけだから、これは全くの荒唐無稽な物語、というわけではないのに違いない。だから私のような、この分野の素人が読むと、なんの矛盾も見いだせずに納得させられてしまうのであります。まあ専門家の方が読んだら問題点もあるのかもしれませんが、このての本の中にも単なるパニックものでない、十分に調査されて書かれたものがあるのだな、と見直すきっかけとなる一冊でした。
同社からは4月に違う著者ですが、また面白そうな科学ホラー(というジャンル名は気に入らないが)が出るので、楽しみにしています。いずれまたご紹介しましょう。