ISBN-4838710666
1998年/マガジンハウス
1500円+税
352頁
デザイン:山田英春
斎藤美奈子の名前を知ったのは、マガジンハウスの今は亡き雑誌「
pink」でのこと。「オトナのやり方」という連載を持っていたのですが、最初私はあのポジティブ・シンキングのミナコサイトウだと思い、驚いてしまった。勿論別人で、略歴にもよく「ミナコサイトウとは別人」と書いてある。「pink」の中で一番好きな連載だったなあ。で、話題になっているけれど、絶対自分じゃ読まないだろうなあ、という本をかわりに読んでくれて、面白く教えてくれるのである。一番役に立ったのは『
失楽園』ダイジェストでしょうか。他にも『
教科書が教えない歴史』とか『
テロリストのパラソル』とか『
BC!な話』とかを、もともと読む気もなかったけれど、やっぱり読まなくていいんだ!と安心させてくれたのが嬉しい。本の話ばかりじゃなくて、選挙、バスフィッシング、橋田ドラマ、などテーマは多伎にわたっていたのでした。
本書は同じくマガジンハウスの雑誌「
鳩よ!」に94年から98年まで連載されていたもの。雑誌のコラムっていうのは生ものだから、やはりちょっと古いな、という感はあるけれども。たとえばタレント本の話をするなら、いまはあのミリオンセラー『
ダディ』(なにを血迷ったか読んでしまった。幻冬舎の人が貸してくれたんだもの)を外すわけにはいかないはずだが、この頃評判のタレント本といったら『
ふたり』やら『
遺書』やら『
弟』なわけ(『ふたり』も『弟』も幻冬舎のミリオンセラーだ、おそるべし)。その辺は最後に若干の加筆があったりはするんだけれど、やはりこういうのってリアルタイムで読んだほうが面白いのは当然。だから紀伊國屋の
i feel(教えてくださった草の実さんに感謝!)などはとても楽しい。こういう人こそHP作ればいいのに。
ちょっと古いとは言っても逆に「そうそう、こんなのが流行ったのよ!」と思ったりもする。たとえば『
「超」勉強法』。この頃本のタイトルに「超」(しかもカギカッコ付)ってつくの多かった。その頃私は書籍の仕事を始めたばかりだったのだけれど、やはり「超」のつくタイトルの本を作ったもの。
大型国語辞典を比較する、っていうのも面白かった。取り上げられているのは『
大辞林』『
大辞泉』『
日本語大辞典GJ』。実は私はどれも使ったことがない。正しい辞書というと『
広辞苑』のイメージ、でも実際普段使っているのは『
新明解(新解さんね)』。で、それぞれで同じ語をひいてみて比較した末、こんな人にはこれ、というのが紹介されていて、うーん私は『大辞林』かなと。折しもいまちょうどやっている季刊誌の特集の中に「パラダイム」の語が。この言葉、時々目に(耳に)しますが、わかったようなわからないような……社内では物知りで通っている(?!)私のこと、見本ができた折には同僚に「パラダイムって何ぃ〜?」ときかれるのは必至、コッソリ調べておかねば、と早速
『大辞林』のページへ。無料で使えるとはなんと親切!で、……
パラダイム [paradigm](1)アメリカの科学史家クーンが科学理論の歴史的発展を分析するために導入した方法概念。科学研究を一定期間導く、規範となる業績を意味する。のちに一般化され、ある一時代の人々のものの見方・考え方を根本的に規定している概念的枠組みをさすようになった。(2)語形変化の型を代表的語例で示した一覧表。日本語の用言の活用表、印欧語の格変化表などがその例
ダメだ、これじゃあやっぱり説明できない。
タイムリーなこともある。同僚Y嬢が、弟さんの結婚式のしおりを作っている、って話をソーテイ日記に書いたけれど、んなもの会社でやるな!という私のイライラ具合はおいておいて、「言葉を犬語にしなきゃいけないんだけど(犬が新郎新婦にインタビューしているという設定らしい)、『二人が出会ったのワン、いつのことだワン?』でいいのかなあ」と言いだした。そこですかさず本書を手渡し、ここを読め!と。なんと犬語と猫語の比較の項があるのだ。確かに犬が語っているという設定だからって一冊丸ごと「そうだワン」の繰り返しだったら読めないよね。
取り上げられている本の写真が小さく載っているのだけれど、これがなかなか便利。たとえばアダルト・チルドレンの本って出版社も著者も違うのに、どれもこれもタイトルは太めの明朝体で顔のはっきりしない人物のイラストが。売れている本に似せて作って間違えて買わせようという編集者の魂胆か、はたまたACという耳慣れない言葉を聞いて困ったデザイナーが右へ倣えとなったか、それとも偶然の一致か。
いい気になって書いていたらすでに十分長い。でもそれこそ全ての項に対して何か書けるぞ、という感じなのですが、この辺にしておきましょう。読まれた方で「この項について話したい!」っていうのがある方はどんどんBBSへどうぞ。しかし、面白いんだけど、一気に読むのは結構パワーがいる。買ってちびちび読むのがオススメです。ちなみに前書きに「踊る読者度」チェックリストがあって20項目中10個以上丸がついたらかなり重度の踊る読者だそうですが、私は15個も当てはまってしまった。でもこのてのサイトを見ているあなたもきっと「踊る読者」のはず。