『町でいちばんの美女』 チャールズ・ブコウスキー

The Most Beautiful Woman In Town & Other Stories by Charles BUKOWSKI
青野 聰=訳

ISBN-4105276018

1994年/新潮社
2524円+税
364頁
カバー写真:藤原新也
装幀:馬場崎仁
これまた有名な本であるのだけれど、私は内容について何も知らないまま読み始めた。それにしてもなんて素敵なタイトルでしょう。「町でいちばんの美女」。声に出して何度も唱えてしまいそうな「町でいちばんの美女」。それはいったいどんな人物なのだろうかと、まるで美女に会いに出かけるかのように、嬉々として本を開いたのでありました。
しかし彼女は美しいだけの人ではなかった。『ナチュラル・ウーマン』の時にも書いたように、私は美しい人には光の中で輝いていて欲しい、と思ってしまうから、彼女にはショックを受けた。辛かった。悲しかった。
ところがその後の短編たちを次々と読むうちに、疑問がわいてきた。果たして彼女は本当に美しかったのだろうか?その町は、実は若い娘なんかあまりいなくて、小さな掃きだめのような町なんじゃないか、と。なぜなら短編たちはどれもこれも不潔で、下品で、堕落していて、本を投げ出したくなるようなものだったから。初期の筒井康隆の作品の中にも吐き気をもよおすような描写のものがあるけれど、それらは目を背けながらも、そっと横目で盗み見てしまうようなものがあるのだが、これはもうたくさん、という感じ。素敵すぎるタイトルとしゃれたカバーから想像していた世界とあまりに違うので頭がついていけなかったせいもあるかもしれないけれど。
こういう本を読んで、理解できなかった、とここに書いてしまうことには結構勇気がいったのでありますが。というのも「なんだ、コイツ偉そうなこと書いているくせに読解力がないじゃん」と思われるのが実は恐い。あまりいじめないでね。
読んでいる途中で思い出したのですが、確か伴田良輔氏の『Chibusa』という本のサブタイトルが「町でいちばんの乳房」じゃなかったかな? もしかすると途中で変わったかもしれませんが。多分この本からとったのでしょう。伴田氏なら好きな世界かもしれない。

2000年02月19日(土)01:45 by PINO - Category: bookguide
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