『沙羅は和子の名を呼ぶ』 加納朋子

by KANOU Tomoko

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ISBN4-08-774430-2
1999年/集英社
1700円+税
320頁
イラストレーション:
塩谷敦子
ブックデザイン:
鈴木成一デザイン室
ここではいろんなジャンルの本を読んでいることをウリにしていますが、本当は私の読書傾向はかなり偏っている。図書館では知らない作家の棚の前は素通りだし、文学賞の類いには全く興味がないから新しい作家の名前は知らないし。そんな私が救われているのは、会社に本がたくさんあるせい。忙しくて図書館に行けないときなど、ほんと重宝します。というわけで、これは会社にあった一冊。
加納氏のことは全く知らなかったのですが、他の書評サイトを見ていると、なかなか人気があるようです。ちなみにWEB上ではミステリ、SF、ファンタジー系が強い。で、世間で評価が高い中、私は苦言を書くぞ。
この本の帯には「珠玉ミステリ短編集」とありますが、ミステリというよりはファンタジーな気がします。だってミステリにしてはあまりにトリックがお粗末。〈以下ネタバレ注意〉例えば双子が出てくる話があるのだけれど、「私の双子の妹」と言ったときに、私自身が双子の片割れの姉の方なのか、それとも妹が二人いてその二人が双子なのか、ということから起こる勘違い、なんて全然新しさがない。それから一番最初の短編は、医療ミスという重いテーマを取り上げているにもかかわらず、あまりにお気軽で、医療についてなにも調べていない、という感じがする。
ただまあ、ファンタジーとしては楽しめるのではないでしょうか? どの短編も失われたもの(人)がテーマになっているようですが、10代の頃に読んだら、もっと夢中になれたような気がする。というのも「失われたもの(人)は戻らない」という現実を知りすぎてしまったから、それらが戻ってくるこの本の作品たちには素直に感情移入ができないせい。年をとるといろんな知識が増えるけれど、それによって理解できなくなる世界も増えるのだな、ということを実感。
話は変わりますが、この本のタイトルを見たとき、今流行りの(?)多重人格モノかと思いました。本のタイトルって難しい。

2000年02月12日(土)01:34 by PINO - Category: bookguide
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