『間宮兄弟』江國香織

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ISBN-4093874999
2004年10月
小学館
1300円+税
288頁/四六判上製丸背
装画=木之上勝
写真=大野晋三
装丁=SONICBANG CO.,
江國香織も読まず嫌いの作家だった。
ずっと前に雑誌の連載をちょっとだけ読んだことがあって、なんか甘ったるい印象というか、今だったらあの絶対口にできない恥ずかしい言葉「スイーツ」が似合いそうな感じ、とでも言おうか。
しかし今回初めて本を読んでみたのだけれども、これがなかなか面白かったのですよ。

主人公はタイトルそのままの間宮兄弟。カバーの絵だとまだまだかわいらしいが、実際は兄弟揃って30歳を過ぎている。そんな歳の兄弟が二人で住んでいる、ってのもちょっと引かれそうだが、しかもこの兄弟、揃って恋人を持ったことがない。いい人なんだけど恋愛はありえないと思われるタイプの男たちなのだ。はたしてこんな兄弟はいるのかね。「ありえない」ような人っているけれどもさ、それは私にとって「ありえない」だけで、いつの間にか恋人がいたり結婚したりしているから他の誰かにとっては「ありえる」わけで(もちろん他の人にとって「ありえない」人が私には「ありえる」こともあるわけで)。
そしてこの兄弟、いい人たちなんだよね。成り行きで彼らの家に遊びにいくことになってしまった女性たちが出てくるのだが、彼女たちにとってもやはり「ありえない」のだけれども、それでもなんか楽しいと感じてしまう。彼らのもてなしはちょっとずれていたりもするのだけれども、それでも一生懸命でとても好感が持てるのだ。
なんとなくリアリティのないような設定のように見えるが、でも細かい描写がなかなか気が利いている。兄の方が高校時代に好きだった野球選手が「屋鋪」ってのがピッタリすぎてなんともツボ。
そして「スイーツ」なイメージがあったので、この兄弟の奇妙なしかし居心地のいい世界が甘ったるい世界になってしまうのかしら、と危惧したのだけれども、兄弟は最後まで兄弟のままだったのでなんか嬉しい。

*読まず嫌いで、初めて読んだとばかり思っていたのだけど、これをアップするときにインデックスに記入しようとして気づいた……前にも1冊読んでるじゃない。そしてそのときにも「想像していた甘ったるい世界と違った」と書いていたりして……ああ、記憶力が。
そしてこの本、映画にもなっているのね。映画のサイトを見てみると、まあ「ありえない」感じではあるけれども、これなら「ありえる」人もいるんじゃないかな、と(やはり誰にとっても「ありえない」人を視覚化するのは難しい)。でもコミカルな感じでなんか面白そう。

about book design...
本文はOKL。
カバーの絵がやっぱりかわいすぎるなあ、全然「ありえない」ようには見えないものね。最後までこの兄弟が想像できなかったのはこの絵に引っ張られたせいかもしれない。でも本当に「ありえない」ような人たちを描いちゃったら読んでもらえないかもしれないけど。

2009年04月08日(水)09:22 by PINO - Category: bookguide
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