ISBN-4104741027
ISBN978-4-10-474102-1
2007年5月
新潮社
1400円+税
176頁/四六判上製丸背
装画=霜田あゆ美
装幀=新潮社装幀室
朝日新聞の書評で斎藤美奈子さんが褒めていたから借りてきたのだけれども。ども。
3つの独立した話からなる本なのだが、3つとも同じような主題だ。最初の表題作では、いい歳をして学生のわけでもなく働くでもない息子は親と同居していて、母親はそんな息子の靴下の汚れや靴ひもの結び方(息子の靴ひもが汚れているからと言って、自分のと取り替えたりする!)などを気にしている。そんなちょっと気味の悪い(しかし現実には結構存在するのだろう)家族のだらだらとした物語かと思いきや……煙草を吸った父親から黒いものが飛び出して竜巻になり……なんて妙なことが突然始まる。その突然っぷりは筒井康隆を思わせるのだけれども(筒井マニアなので何でも比べたくなるのです)、筒井作品は否応がなくその中に巻き込まれるのに対して、この黒いものには私は巻き込まれない。一歩下がって、ちょっとしらけたような気分で見ているだけのような。
2つめの話もやはり似たような家族の物語だが、今度は息子ではなく母親を追う視点から。この家では母親以外誰も鍵を持っていない。会社員の父親も、大学生の息子も。その状況だけでかなり気持ち悪いんだけど、でも実際にはそんな家もあるのよね。
3つめでもやはりそんな家族が。しかしここでは母親は祖母の看病のために家を空ける。何を食べればいいんだ、と困る父親。
とまあ、同じ主題がこれでもかとばかりに形を変えて続くわけだけど。
なんかその主題自体に拒絶反応を示してしまう(それがどんな経験から来るかはご想像にお任せするが)私は、最初から最後まで一歩下がって、口を半開きにして眉間にしわを寄せて眺めていたような感じで。もっと近寄って、自分も目になったつもりで家の中を楽しめばもっと面白く読めたのかもしれませんが。
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本文は大日本の秀英細明朝。