2001年7月
角川書店
1400円+税
344頁/四六判上製丸背
イラストレーション=
SENGAJIN
ブックデザイン=
鈴木成一デザイン室
人気のある作家さんだけれども、実はこの人の本はあまり読んでいない。ちゃんと読んだのは『月の裏側』だけで、他のはゲラを斜め読み、とか雑誌の連載を一部分、とか。それで独特の世界観を作り上げるのがうまい作家、しかしその世界に入り込めないと辛いかな、というイメージがあった。
で、久しぶりに読んでみたのが本書。とても意外な感じ。もしも著者名を隠されて「誰が書いた本でしょう?」ときかれたら絶対に最後まで当てられないと思う。
物語の舞台は主に東京駅(行ったことがない人にもわかるように見返しに駅構内の見取り図が載っている)。たくさんの登場人物が出てきて、それぞれの物語がせいぜい5ページ程度の短さで連なる。これが最初、少々まどろっこしくて。この子がこの後どうなるか知りたいのに別の人の話になっちゃうー、と。まさに小さいドミノが次々と倒れて行くように、次々といろんな事柄が進んで行く。ちびちび読むつもりだったのに、倒れはじめたら止まらないドミノを追いかけるように一気に読んでしまった。
と、スピード感のあるなかなか面白い話ではあったのだけれども。面白いだけで読んだ後には何も残らないなあ。すべて倒れてしまったドミノにはもう用がないかのように。
about book design...
本文はイワタ明朝体オールド。
最初に登場人物一覧がイラスト付きで載っている。こういうイラストってイメージを固定してしまって逆効果のこともあるけれども、この本ではとても合っている、というか一人一人の登場人物が具体的なイメージを持てるほどまで小説の中では書かれていないからね。しかしこうして一覧で見ると、普通の人が全くいないなあ。