ISBN-416320900X
2002年5月
文藝春秋
1238円+税
272頁/四六判並製
PHOTOGRAPHY=
EIJI SUZUKI
DEGITAL ARTIST=
HIROSHI MASUDA
ART DIRECTION+
DESIGN=
KENTARO ISHIZAKI
何度も書くけど私にとって奥田英朗は『最悪』のイメージで。その後
『サウスバウンド』や
『マドンナ』を読んで、むしろ『最悪』の方が特別な気がするけれども、それでもイメージはなかなか変わらないから、読みはじめはいつも戸惑うことになる。
さてとても売れたと思われる『イン・ザ・プール』、一時は図書館では予約の列だったろうけれども、今は棚にずらりと並んでいるよ。いつも思うのだが、たとえどんなにベストセラーでリクエストが多くても、図書館で購入するのは1冊にすべきなのではないかと。100人以上の人が予約待ちになるかもしれないが、本を買わずに借りるというのはそういうことだ。早く読みたければ買えばいい、きっと近くの書店で平積みになっているだろうから。
同じ本をたくさん買うともちろんお金もかかるし、スペースもふさぐ。1冊にして、そのかわりすぐに絶版になってしまったり、はたまた近所の書店では取り寄せないと買えないような、そういう本こそ並べてほしいのにね。
売れた本だから、だいたいの内容─精神科医と奇妙な患者たちの話、ということは知っていた。しかし表題にもなっている一つ目の話を読むと……うーん、患者はそれほど奇妙ではないし、精神科医のキャラクターも特に、という感じである。下ネタ寄りになった2つめを読むとますますそう思う。直木賞候補作(というかシリーズ第二作の『空中ブランコ』で受賞したわけで、メッタ斬りコンビによればシリーズものは“合わせ技一本”でとるらしいから、ある意味これも受賞作のわけでしょう?)なのにこんななの?という感じだった。
けれども3つめあたりから、そんな最初の印象も吹き飛ぶほど面白くなってくる。精神科医伊良部のキャラクターがどんどん立ってきて、太っていてマザコンで注射好きで……という全然魅力のない男のはずなのに、好感が持てるようになってくる。それに最初の二つでは「こんな解決でいいわけ?」と思うような結末だったのが、「もしかして名医?」と錯覚しそうなものになっていくし。
これは絶対『空中ブランコ』も読まなくちゃ。メッタ斬りコンビによるとレベルアップしているみたいだしね。
about book design...
本文は……この傾いたような独特の「な」はモトヤかな。
水の中の赤ん坊、というヴィジュアルを見るとNIRVANAの
Nevermind
を思い出してしまうのね。全然違うんだけど。