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ISBN-4344012399
2006年10月
幻冬舎
1600円+税
314頁/四六上製丸背
装幀=泉沢光雄
読むきっかけは
朝日の書評
読み始めてすぐに「ああ、これはダメかも」と思う。主人公の十和子は、かつて勤めていたときには「髪ぐらいとかしてこい」と言われてしまったような女だ。働いていない今は家でひたすらDVDを観て、家の中はぐちゃぐちゃで、料理をするわけでもなくて。そのくせ仕事をし、料理もする同居の男(籍は入れていない)に対して嫌悪感を抱いている。けれどまあその男も始終咳き込んでいて、しつこくて無神経で、嫌悪されても仕方がないような人物なのだ。汚らしい二人の汚らしい暮らし。たとえ嫌いでもちょっと離れたところからなら見ていたいと思う人たちもいるが、この二人に関しては遠くからでも見たくない。いっさい目にしたくない、同じ空気を吸いたくもないそんな二人。
そんな二人の生活について延々読まされるのだろうか、そんなものはごめんだと思い始めた頃に物語は動き出す。それまでは1章読んでは本を置き、だったのがそれからは一息に。
そういえばこの人は前作でホラーサスペンス大賞を受賞したんだったと思い出すが、この本はホラーというほど怖くはないし、サスペンスというほど通俗的でもない。もっともっと文学的だ。人物がしっかり書けているからこそ主人公たちにこんなに嫌悪を感じるのかもしれないなあ。
圧巻なのは書店のシーン。主人公と一緒に、ぐるぐると世界が回る感じがする。口の中でじゃりじゃりと砂が音をたてる。
about book design...
本文はNKL。
カバーや見返しには型押しの紙が使われていて、そのざらざらした感触を味わいながら読むといいかもしれない。残念ながら図書館の本はビニールがかかっていてツルツルだけど。