ISBN-4120037215
2006年4月
中央公論新社
1600円+税
338頁/四六判上製丸背
装幀・装画=寺田順三
最初に読んだ小川洋子さんの本はご多分にもれずベストセラー
『博士の愛した数式』で。80分しか記憶のもたない博士という特殊な設定であるけれども、決してそれだけに頼ることなく、きらきらと輝く登場人物たちがとても魅力的だった。
本書も、お金持ちでそしてとっても素敵な家族の一員であるミーナ、彼女はカバに乗って学校に行くというそれはまたあり得ないような設定であるけれども、やはりここにもきらきら輝く人たちがいる。この人の本のすごいところは、ほんの数分、たった数頁しか出てこないような人についてでさえも、きっちりと描かれているところだ。そうだ、現実世界において主役と脇役の区別なんてないのだもの。エキストラなんて人はいないのだから。
Amazonのレヴューを読むと、いい人ばかりが出てくることを不満に思う人もいるようだが、いいではないか。いい人ばかりの世界なんてもはや小説の中にしか存在しないかもしれないんだもの。ましてやこれは新聞に連載されていたもの、殺伐とした事件が溢れる紙面の中にひとつくらいこんな世界があってもいいでしょう。
そしてまた楽しいのがミーナが書くマッチ箱の物語。それだけで素敵な絵本が作れそうなほど。
巻末広告にこの著者の本が4冊載っていて、そこに書かれた簡単な紹介を見ただけでもあれもこれも次々読みたいと思う。
about book design...
本文はILM-A。
本文の途中にも贅沢にカラーのイラストが! おとぎ話の世界のようなちょっとレトロなイラストがとても合っている。見返しにずらりと並んだ清涼飲料水のイラストもかわいい。