ISBN-4163218408
2003年5月
文藝春秋
1762円+税
328頁/四六判仮フランス装
写真=大嶽恵一
装丁=京極夏彦with Fisco
ミステリ評ではとても信頼しているサイトがあって。そこで5つ星の評価、「西澤保彦の代表作となるべき傑作」とまで書かれていたので読んでみることに。
しかし読み始めてすぐにこれは苦手かも……と思う。主人公は日本人の少年マモル。彼は家族と離れてファシリティなる学校で寄宿生活を送っている。学校といってもクラスメートは5人しかいないし、職員も3人。どちらも全員外国人だ。そしてマモルはクラスメートたちに詩人(ポエト)やら妃殿下(ユアハイネス)といったあだ名をつけている。
最初にこの設定を読んで、なんかゲームみたいだな、と思ってしまった。
生徒たちはこの学校の正体や目的をそれぞれ思い思いに推理している。その中の最もゲームっぽいものが、だから私にはすんなりと受け入れられてしまう。こんなに早く種明かしされるはずはあるまい、と思いつつも。(以下ネタバレ。反転して読んでください)
だから衝撃の結末を読んでもあまりショックはうけなかった。なにが現実なのか、現実だと思っていたことがそうでないことに衝撃を受けるのだろうけれども、アバターが動き回るような非現実的な世界だと思いながら読んでいるとそれほどの驚きはないのだった。もしかするとゲームに慣れ親しんだ世代ならもっとすんなり読めるのかもしれない。最初に「ゲームっぽい」と思うことがマイナスではなくプラスになるほどゲームが身近なものである読者ならば。そういえば前述のミステリ評サイトの主もゲーム好きであった。
この小説を語るのは難しいなあ、面白くはあったのだ、途中からは一気に読んでしまうほどに。ただ想像していたのとあまりに違うものだったので消化しきれないというか。西澤保彦という作家についてまったくの知識なしに読み始めたのだが、なにせ「本格ミステリ・マスターズ」なるシリーズ。巻頭には学校の見取り図まで入っている。なのですっかり本格的な、正統派のミステリだとばかり思ってしまったのだけれども、実はこの作家はSF奇想ミステリを書く人だった、というわけ。そういう予備知識を持ってのぞんだらまたもっと違う感想を抱いたかもしれないね。
about book design...
本文はOKL。
装丁は京極夏彦なのね。自分の本をやっているとはきいていたが、人のもやってるのか。