ISBN-4103780053
2004年3月
新潮社
1300円+税
224頁/四六判
仮フランス装
装画=川上和生
装幀=新潮社装幀室
数年前、35歳にして自ら命を絶ったニュースを聞いた時は驚いた。しかし気づけばこの人の本をちゃんと読んだことがなかった……というわけで初めて読んでみたわけなのだけれども、これを書きながら気づいたのだが、これは亡くなる前の月に書かれた最後の作品なのだなあ。
2つの話がおさめられているのだが。
1つめは友人男性とその子どもと同居する男性(といってもゲイではない)。2つめはバリバリ働く二度の離婚歴のある女性が主人公。共通するのは、どちらも自分とは血のつながっていない子どものことをものすごく気にかけている、ということだ。
私自身が子どもと暮らしていて思うに、子どもというものは自分と血がつながっているからかわいいわけではない。血のつながりなど普段は意識することなどなくて、その子本人がかわいいのだ。そう考えるのだけれども、それは実際にまぎれもなく自分の子だからなのだろうか。もしも他人の子だったとしても同じように思えるか。それは想像の範囲を超えているから私にはわからないのだけれども。だからこの主人公たちと子どもたちとの関係が自然なものなのか、それともあり得ないものなのかどうかはわからない。それでも家族を求めて手探りで進む主人公たち(そしてその家族たち)には好感が持てる。
もしも今自分が一人だったらこんな風に家族を求めるのだろうか、と考えるも、これまた想像力を超えていてわからない。けれど亡くなったとき著者は一人暮らしで、これが最後だと思うと、彼女も2つめの話の主人公同様「形のある何か」が欲しかったのではないか……なんて思うのは1冊しか著作を読んでいない読者の浅はかな考えかもしれませんね。
about book design...
本文書体が……これ、時々見かけるのだがなんだかわからない。「な」とか「は」とか「い」とかの字画がずるーっとつながっている書体。OKLほどそっけなくないけれども精興社ほどクセがない。気になる……。