ISBN-4105900250
2001年8月
新潮社クレストブックス
2000円+税
384頁/四六判仮フランス装
Photograph=Joel Meyerowitz
Design=Shinchosha Book Design Division
初めて読んだクレストブックスは
『アムステルダム』で、当時『朗読者』も話題になっていたせいもあり、これはすごいシリーズだ、全部読みたい!とまで思ったのだけれども、最近読んだものにはなんか微妙なものも……特に
『最後の晩餐の作り方』はかなり読むのが苦しかった。だからこの本は知っているイラストレーターさんのサイトで紹介されていたので読もうと思ったのだが、いざ本を見つけた瞬間「うっ、またクレストブックスか」なんて思ってしまったくらいで。でも同じレーベルから出ている本がみんな同じテイストのわけじゃないものね。
主人公の女性の家に深夜ノックの音がする。それはパイロットである夫が操縦する飛行機が墜落したことを知らせにきた組合の人間だった。明らかにされて行くのは事故の真相、だけではなくて妻の知らなかった夫の行動の方がむしろ重要だ。夫のそのような行動を知ることは妻にとってこの上なく辛いことなのだろうなあ、と頭では理解できるけれども、そんなときに自分がどう思うか、なんてことはあまり想像できない。むしろ旅先から電話をして受話器の向こうの娘がまさに自分の望まない行動をしようとしているのにどうすることもできない場面の方がはるかに苦い気持ちになる。
「十分な時間を与えられれば、女性はたいてい立ち直りますね。ただ、不幸なことに……」(中略)
「子供たちは、そう簡単には立ち直れないんです」ゆっくりと言った。「世間じゃ、子供は回復するのが早い、と言いますが、実はちがうんですね。子供は変貌するんです──何か災難にあうと根本から変わって、それから適応していくんです。」
多くの被害者家族と接してきた組合の男性のこの言葉がしみる。
といいつつも今、いろんなことの真相が一気にわかる終わりの1/4くらいを読み返したら涙があふれそうに。もしかするとこれは後からじわじわ来る本かもしれないなあ。読み返せば読み返すほどに。
about book design...
クレストブックスの本文は精興社明朝。
カバーの写真はレンタルフォト。海に面した主人公の家のイメージなのだろう。でもその家は元修道院だからね……。
以下はネタバレ&あまり関係がないかもしれない話なので
浮気をされたことがない。いや厳密には「浮気をされたことに気づいたことがない」と言うべきか。
浮気には寛容なつもりだった。最低限のルール(子どもをもたない、病気を持ち帰らない、生活に支障が出るほどのお金を費やさない)を守れば構わないとさえ思っていた。あとは全力で隠すこと。決して堂々としていいわけではない。
けれども。
単なる遊びではなく、本気で不倫をしている男は、その事実を悟られまいとして、決して足を出さないのであった。
を読んで考えを改める。本気で欲しいものに対してでない限り、なみなみならぬ努力や犠牲は払えないということか。
しかし主人公に娘がいて本当によかった。夫が最期の瞬間に口にしていい自分以外の女性の名前は娘だけだろうから。そしてそう確信できることが彼女の救いなのだ。