ISBN-4163192107
2000年5月
文藝春秋
2000円+税
504頁/四六判上製丸背
装丁/地図制作=増田寛
AllAboutのミステリ小説ガイドに載っていたのをメモっておいたのだが。メモには書名著者名しか書いておかない。なので純粋にミステリなんだろうと思って読み始めたのだけれども。冒頭、いきなり女の足が地面から生えてくる。その女は逆さのまま空を飛ぶのだ、しかも鼻がない。しまった、ミステリじゃなくてホラー小説を借りてきてしまったか。それは苦手なジャンルで、しかも結構な厚さの本、おそらく読み終えることなく挫折するんだろうなあ、と気乗りしないまま読み続けたのだが。
逆さの女はお化けではあるけれども、どうやらこれはホラー小説ではないようだ。舞台は沖縄、ユタと呼ばれるシャーマンがいて、ノロなる巫女がいる御嶽(ウタキ)なる霊場がある彼の地なら、そんなお化けが飛び回ってもおかしくないような気がしてしまう。500円で占いをするユタのオバァ、そのやり方はなんともいい加減なものだけれども、驚く程よく当たる。占いに頼りに来るのは女子高生だったり、世界的な学者であったり、米軍少尉であったりする。
読み進めるうちにすっかりペースに巻き込まれて、ここなら何が起きてもおかしくないような気がしてくる。次々先が知りたくなって、あっという間に350頁過ぎまで読んでしまったのだが。が、ここからがどうもいけない。何が起きてもおかしくないような気分になっていたのだが、さすがにこんなことは起きないだろうということが。いやそもそも最初から実際に起きないようなことの連続ではあったのだが、読んでいる私の頭の許容範囲をついに超えてしまった、という感じか。急に我に帰ってしまったような気分で、なんだか冷めてしまう。なーんだ、結局はファンタジー小説だったのか。でもファンタジーが苦手な私をここまで惹き込んだのは見事というべきか。
「ファンタジーじゃん」と思ってしまうと読後感はあまりよくない。あと途中でも気になっていたのが、あまりに悪ふざけがすぎるような場面が多いこと。この本の好き嫌いは、ファンタジーと悪ふざけが許せるかどうかにかかっているのだろう。面白かったとは思うけど、この人の本をもっと読みたいという気にはならなかったな。
ファンタジーだから細かいところにこだわっちゃいけないんだろうけれども、ノロのいなくなった御嶽はどうなるのかなあ、なんてことが気になったりして。
追記:読んでからもう半年近くたつのだけれども、いまだに忘れられない場面がある。それはオバァとロシアンルーレットで勝負するコニーが看板に向けて銃を撃つところ。この時からコニーは強力なセヂの持ち主となる。セヂは強いものへと集まるからだ。
実際、ものすごい運がめぐってきたと感じる時ってあるよね? めぐるのではないな、まさに集まってきた感じ。これもセヂなのか?などと思ったりして。
about book design...
本文はモトヤ明朝。自分で使うことはないので、この独特な「な」はなんだっけ?としばし悩む。