ISBN-4163220909
2003年8月
文藝春秋
1571円+税
424頁/四六上製丸背
装画=松尾たいこ
装丁=大久保明子
気になっていたけど未読だった作家の一人、横山秀夫に挑戦。
85年の御巣鷹山の日航機事故に関わる地元新聞記者たちの物語。
本を読む前にAmazonの“商品の説明”を読んだところ、著者自身も上毛新聞の記者として御巣鷹山の日航機事故の現場を取材したのだそうだ。読んでなるほど、と思う。これは当事者にしか書けないだろう。事故のことも、そして新聞社の中で起きていたことも。
最初はちまちまと読んでいたのだけれども、半ばあたりからはもう一気に。登場人物も少なくないし、それぞれの肩書きも把握しなければならないのだが、まったく混乱することなく読める。それはプロの文章だからなのだろう。いや、作家はみんなプロであるはずだが、この人は明確に伝える文章を書くプロだ。12年間の記者生活で無駄な飾りのない、必要なことを過不足なく伝える文章を書くことが身にしみ込んでいるのだろう。
ただ丁丁発止とやりあう社内でのやりとりが臨場感があるのに対し、家族などとのやりとりの感情は希薄だ。もしかすると著者自身も記者時代は主人公のように家族とうまくコミュニケーションがとれなかったのかもしれないなあ、なんて勝手に想像してしまう。
ほかの作品もぜひ読んでみたい。
Amazonには著者の言葉として
記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。
とある。「記録でも記憶でもないもの」という言葉に考えさせられた。
about book design...
本文は岩田細明朝。
図書館の本なので帯はなかったけど、タイトルが下にあるこのデザイン、当然帯もフルカラーだな。