『検屍官』パトリシア・コーンウェル

Postmortem by Patricia Cornwell/相原真理子=訳

ISBN-4061850695
1992年1月
講談社
760円
512頁/文庫
カバーデザイン=辰巳四郎
前回本格推理のつもりがファンタジー色の強いものを読んでしまったので頭がミステリを求めている。なので今回はハズレのないよう有名な作品にしてみました。

主人公ケイ・スカーペッタは検屍局長。科学捜査の進んだアメリカらしく、検屍官は単に死体や遺留品を調べるだけじゃなくて積極的に捜査に加わるらしい。今回は連続女性惨殺事件。
本格ミステリが読者も一緒に犯人を推理していくようなものだとすると、これはミステリというよりもエンターテインメントだろう。薄汚れた身なりの叩きあけの部長刑事に、ハンサムな検事、仕事オタクのような指紋係などなど映画のキャストを考えるのが楽しそうな個性的な人物が揃っている。といっても死体の描写は欠かせないから映画化はできないかもしれないが。でもこのスピード感に緊張感、映画を見ているかのようだ。
そしてこのシリーズが人気があるのがとてもわかるような気がするのがその設定のうまさ。ケイは離婚歴のある40歳だが、局長という地位からしてこれ以上若いとリアリティがないだろう。離婚歴があるというのも、決して仕事一筋で突っ走ってきたわけではなく、しかし仕事も家庭も何もかも手に入れられたわけでもなく、ってところに読者は共感するのだ。そしてこの年代だったり離婚歴があったりする女性が求めるのは決して結婚相手ではなくて、公私ともに頼れるパートナーなのだけれども、ケイにはそんな羨ましい存在の男性がいる。でもそれをいつまでも続く安定した関係としなかったところが絶妙。
まあ不満がないわけでもないが(ここよりネタバレ、反転して読んで下さい)最後は大団円という感じで、まあそこがまた映画っぽくもあるのだけど。あと途中から訳あってあまりに急いで読んでしまったので見落としたのかもしれないのだが、ローリーの夫のナイフはどうして引き出しに仕舞われていたんだろう?でもそんなことが気にならないほど面白かった。シリーズになっているのでまだまだ楽しみが続くと思うと嬉しい。

about book design...
本文はNKLかしら。
Amazonの書影と全然色が違うなあ。青っぽく見えるところ、実際は紫。
この本に関係のないことですが、ずっと前にAmazonで本を買うと文庫カバーが貰えるというキャンペーンをやっていたのね。その時は別に欲しくもなかったけど、貰えるんなら、と入手してあった。で、ふと思い出して今回初めてそれを使ってみたわけですが、しおりがついているので意外と便利だ。使うんだったら汚れやすい白になんてしなければよかったなあ。

2007年04月19日(木)16:50 by PINO - Category: bookguide
« 『月の扉』石持浅海 | home :: archive | 『テロル』ヤスミナ・カドラ »

関連記事

関連記事はありません

トラックバック

トラックバックはありません

コメント

コメントはありません

コメントする

since 4 Jan, 2000. sorry, Japanese only. link permission free (please TrackBack!).
all contents by PINO. all rights reserved.