ISBN-4163239308
2005年5月
文藝春秋
1229円+税
240頁/四六上製角背
絵=福井紀子
装丁=斎藤深雪
本読みぶっているけれども、実は誰もが知っているような有名作家の本を読んでいなかったりする。村上春樹も1作品しか読んでいないし、恥をしのんで白状すれば、大江健三郎も多分きちんと読んだことはないのであった。
で、山田詠美。今までに読んだのは1冊だけ。今から10年以上前、同い年の同僚が「今まで読んだ中で一番好きな本」と言って貸してくれたのが『
ぼくは勉強ができない』。彼女が「一番好きな本」と言い切れることにまず驚きながら(私には1冊だけを選ぶことなどできないから)読んだのだが、そう言い切らせるのはいったいどんな本なのだろうと身構えたせいかまったく拍子抜けしてしまった。決してつまらなかったわけではない。でもこれが一番なのか……と、そして今現在、そうした気持ちは思い出せるのに、肝心の本の内容は覚えていないのだ。
その後読む機会がないまま、福生という街は私にとって鬼門となり、ますます山田詠美は遠ざかって行く。けれども朝日新聞の別刷「be」で取り上げられていたのと、漢字四文字の今までとは違うタイプの題名に惹かれて手に取ってみた。
読んでみると、ああやっぱり面白いよ、だてに売れているわけじゃないのだ。登場人物たちはどれもこれも私とは接点のないような人たちばかりだけれども、そして私には理解できないような恋愛をしたりするのだけれども、でもそれらは決して遠い世界の話ではなくて、きっと身近なところで、もしかすると私と同じマンションの中でも繰り広げられているような気がしてくる。それほどに登場人物たちがしっかりと人格を持っているのだ。職業などの設定に寄りかかることなく、それ以前に一人の人間として。
「だてに作家やってないわよ」と叱る声が聞こえてきそうな。読まず嫌いはやめて他の作品にも手を出してみようかな。
about book design...
本文はOKL。
驚いたことに各短篇の頭にある扉がカラー。扉だから当然折りがまとまっているわけじゃないので、どういうことかというと1ページのカラーのために同じ台の他の7ページもカラー扱いになっちゃうわけです。ものすごい贅沢。さすが有名作家の本。
あと図書館で借りたので帯がないんだけど、この本、カバーにバーコードが入っていない。で、Amazonの書影を見るとなるほど、こういう幅広の帯がついていたのね。一見二重帯に見えるが……ん?ほんとに二重なのかな、実物を見に行かなきゃ。