『目かくし』シリ・ハストヴェット

The Blindfold by Siri Hustvedt/斎藤英治=訳

ISBN-4560046875
2000年4月
白水社
2200円+税
256頁/四六上製丸背
装丁=伊勢功治
この小説の感想を一言で言い表すのは難しい。
主人公アイリスは田舎からニューヨークに出てきた、コロンビア大学に通う貧乏学生である。その彼女の一人称で語られる物語は、奇妙な人々に出会うことで進んでいく。4章からなる本なのだけれども、それぞれの章にあまり繋がりがなく、4章だけが長いのは1・3章は先に短篇として発表されたものだかららしい。
犯罪の匂いのする第一章。しかし何も明らかにされないまま終わるので、もしやこれはキツネにつままれるような話ばかりなのかと不安になるが(苦手)そんなことはなく、奇妙な人ばかり周辺に現われると思ったが、当のアイリス本人も十分に奇妙であることがわかってくる(といっても不快な奇妙さではない)。ものすごく感動するとか、そういう類いの本ではないけれども、どこかちょっと不思議な世界(あくまでも「ちょっと」で、決して遠い世界ではない)に連れて行かれるような本。読み終わってもすぐには戻ってこられないような。そしてアイリスの世界をもうちょっと見ていたくなるような。
ところで、作者のシリ・ハストヴェットはなんとポール・オースターの妻である。本人も田舎町から出てきてコロンビア大学院に通い……という略歴を読むと、もしやこれは自分の経験を元にしたものではないか、という気がする。そしてあとがきを読むと「アイリス」は「シリ」を逆さまに綴ったもので、となるとやはり彼女の分身なんだろう。ポール・オースターの本はまだ1冊しか読んでいないけれども、この二人の結婚生活ってなんかすごそうだ。
about book design...
本文はモトヤ明朝。
カバーはちょっと怖いね、目隠しされて処刑でもされそうなイメージ。

最終更新日時:2006年08月30日04:29:07
2006年08月28日(月)12:59 by PINO - Category: bookguide
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