ISBN-4309204023
2004年7月
河出書房新社
1700円+税
268頁/四六上製丸背
装画=松尾たいこ
河出のModern & Classicシリーズは今までに
『ロサリオの鋏』、
『ベル・ジャー』と2冊読んだ。どちらも悪くはないけれどもすごくよかった、というほどでもない。翻訳文学のシリーズでは新潮社のクレストブックスは最初に読んだ
『アムステルダム』からしてすごかったことを思い返すと、なんか水をあけられているような気が。いやいやきっとこれからすごいのに出会うのだ、と3冊目のこの本を手に取ってみたわけだけれども……。
読みはじめてすぐに後悔した。私はこういう飲んだくれのろくでなしが主人公の本は大嫌いなのだ。だからどんなに評価されていてもやはりブコウスキーも好きになれない(訳者あとがきで知ったのだが、著者はブコウスキーのフォロワー的存在で、そのブコウスキーが「自分の神様だ」と絶賛したのが著者の父、ジョン・ファンテなのだそう)。とにかく読みはじめてすぐにいやになったが、しかし本はできるだけ途中では投げ出さない主義である。それに宣伝文に「ダメ男と老犬の旅」とあったからせめてその旅に出るところまでくらいは読んでみようとがんばってみた。それでも1章の終わりで、飛行機の中で自慰行為をした主人公が、隣の席で眠る妻の口の中に精液をなすりつけるシーンでは吐き気すらもよおしてきたけれども。
それでも主人公が犬と旅に出てから、そして犬と二人きりになってしまってからの話は結構面白く読めた。後半にもまた精液にまつわるぞっとする行為が出てくるけれども、もう最初ほどの嫌悪感はない。最後の2章などはなかなかいい話でもあるので読後感はそう悪くもないのだが、でもやっぱりもうこの著者の本はいいなあ。ブコウスキーの好きな方にはオススメしますけど。
ちなみにAmazonの書影はだいぶ色が違います。実際の背景は明るいブルーグリーンで。内容に比べるときれいすぎる(笑)ような色です。