『幻夜』東野圭吾

ISBN-4087746682
2004年1月
集英社
1800円+税
528頁/四六上製丸背
ブックデザイン
=鈴木成一デザイン室
最寄りの図書館には“リサイクル本”のコーナーがある。「ご自由にお持ち帰りください」というわけだが、古い雑誌などが多くあまりめぼしいものがあることはない。が、ある日そこにこの本が。「汚れあり」とあるのだけれどもたいした汚れではない、見返しに染みがあるだけだ。もっと汚い本などたくさんあるというのに。なんか気味が悪く思いつつも読みたい本だから持ってきた。しかし不気味、読み終わると読後感と相まってなお不気味なのだが。
この作品は『白夜行』の続編と言われていて(確かにデザインもシリーズっぽい)できることなら『白夜行』を読んでからにしたかったのだが、なにせ図書館では今日現在52人待ち(文庫は138人! 文庫の方が人気あるのね)。実は発売当時読む機会があったのに……と悔やみつつも、なんか不気味な本をいつまでもそのままにするのも、と先に読んでしまった。

面白い。一気に読んでしまった。実際にこうもうまく行くことはあり得ないだろう、と思いつつも、彼女の仕掛けるもろもろのことは恐ろしくもあり、しかし目が離せない。非道ではあるのだけれども支持したくもなってしまう。けれどね、(以下ネタバレあり、反転して下さい)スカーレット・オハラの名前が出てきた時にずっこけそうになる。実際に美冬のような人がいるわけはないのだが、それでも物語の中で彼女はしっかり存在し、動き回っていたはずなのに、ここでとたんに存在感をなくしてしまった。だってスカーレットに傾倒して、なんてことあり得ないと思うのだけれども。そしてそれは結局、彼女を理解するたいした手がかりにはならないと思うのだが。面白かった分、そこからラストにかけてが納得いかなかったり。あとは彼女が頑に体内で射精することを拒む理由もわからない。もちろん雅也への説明は建前だろうが、本当の理由は? 美を追求するものとしては妊娠するわけにはいかないということか、たとえ避妊したとしても100%じゃないから。というわけで面白いけれども不気味な読後感の残る一冊。そしてああやっぱりこの本の存在は不気味だ、またリサイクル本コーナーに置いてきちゃおうかな。

2006年05月25日(木)15:19 by PINO - Category: bookguide
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