ISBN-4041970059
1998年11月
角川書店
438円+税
224頁/文庫
カバー=泉文社
この人の文章を最初に読んだのは幻冬舎のPR誌『星星峡』でだ。正直言ってあの冊子にはあまり面白いと思うものはなかったのだけれども、その中では欠かさず読むようにしていたのが『ファースト・プライオリティー』。月刊誌、それも時には入手できないこともあるようなものに連載するにはまさにうってつけだったのだろう。一話完結の短編だから筋がわからなくなるようなこともないし、なにより前号の話をすぐに忘れてしまうような手軽さがよかったのかも。単行本を読んだ友人N嬢が「全部同じような話」と言っていたから……。
さて本書も短編集。単行本は大和書房から出ていて「あなたに向いている15の職業」というサブタイトルがついていた。なんかいろんな職業の裏側が覗けそうで面白そうじゃないですか。私は自分と何の接点もない職業の人の話を聞くのが大好きなのだ。どんな分野であっても、外からは想像もできないような苦労や面白さが必ずあるから。
しかし。この本の中にはそういったものが全くなかった。どの職業も、実際に働いたことのない人にでも容易に想像できる話ばかり。その職業である必然性がない。実際に取材したりせずに著者の想像だけで書いたんだろうなあ、と思ったが、あとがきには
この本をつくった時はいろいろな職種の人に話を聞けて、世の中には本当に様々な仕事があるのだなと、当たり前のことに妙に感心しました。
とあるからあながちそうでもないらしい。そしてどれもある意味似たような結末……その職業だから、というよりも「女だから」ということになってしまうのね。まああえてそうしたのだろうけれども。
初出がわからないのだが、もしかしたらこれも月刊誌に連載されていたのではないだろうか。それも例えば『とらばーゆ』のようなものなら納得がいく。必ずしも毎号読むようなものじゃなくて。小説というよりも、ちょっとした息抜きコーナーのようなものとしてなら面白かったのかもしれないなあ、と。でもまとめて読むのは辛いよ、そして特に一番初めの話がものすごくつまらなかった。この本は読まない方がいい?と思ってしまいそうになるほどに。
余談だけれども前出のN嬢が以前、いろんな職業の友人たちで持ち回りで「オシゴト日記」を書いたらどうだろう、なんて話をしていたのだけど。多分、いや絶対この本よりも面白いと思うよ。あの企画はどうなった?>N嬢