『おかあさまのためのコーチング』あべまさい

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ISBN4-88759-364-3
2005年2月
ディスカヴァー
1200円+税
176頁/四六並製
イラストレーション
=大森裕子
育児書の類いはほとんど読まないできてしまった。正解のないものついて断定的に書かれているのがどうしても嫌で、というのは表向きで、ただでさえのんびり本を読む時間などないのにその限られた時間の中で愉しみでない本を読みたくなかった、というのが理由かもしれないけど。
でも時間があったとしてもきっとせいぜい1、2冊を読んで、もういいや、ってことになっていたと思う。正解はないはずなのに「正しい姿」について書かれていたら、すでに「正しくない」状況にある場合はどうすればいいのだ。環境とかすべてが「正しい」状態にある子なんてそんなにはいないかもしれないし。
それに「子ども」という括りはどうなのか。育児書好きな人は年齢に合わせてずっと読み続けて行くのだろうか。でも年齢と一緒に突然乳児から幼児へ変わるわけでもない。そしてその個人差は、本の中で想像されるよりもはるかに大きいものだと思うから。

さて本書も一種の育児書なのだけれども。
「コーチング」という言葉は最近よく聞くようになってきた、アメリカから来たコミュニケーション・スキルみたいなものである。そのコーチである著者が自分の子どもとの関係でもその技術を活かせるのではないか、と書いた本。
育児書嫌いな私の頭にもこの本がすんなり入ってきたのは、今までの育児書が「親対子ども」だったのに対して、ここでは親子関係であっても「人対人」だからだ。そして必ずしも親が子どものコーチのわけではない。子どもが親のコーチになることだってあるのだよ。また、子どもとの関係について考えながら読んでいても、ふとそれが対大人、対他人に対しても当てはまることに気付かされる。結局人と人とのコミュニケーションという点では相手が誰であっても一緒なのだ。

言われてみると当たり前なんだけど「なんでこんなことに気付かなかったんだろう」「どうしてこんなことを忘れていたんだろう」と思う言葉が次々出てくる。そのなかで一番「ああそうか」と雲が晴れるような気分になったのは
「あの人が私にしてくれた」「私があの人にしてあげた」にこだわると、二分化のスイッチが入ります。
コーチングを知らない層にこれを読ませることで新たな顧客を獲得しよう、みたいな営業臭いところも多少あるのだけれども、それでも十分読むに値する本。

2005年04月13日(水)13:36 by PINO - Category: bookguide
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