ISBN4-622-04517-6
2000年4月
みすず書房
3200円+税
420頁/四六上製丸背
カバー・表紙デザイン
=下田法晴
この本を読むきっかけとなったのはメタローグ『ことし読む本いち押しガイド2001』。永江朗氏、青山南氏、豊崎由美氏と3人もがその年のベストとして挙げていたのだ。
カバーで使われている写真は、ドイツの写真家アウグスト・ザンダーが1914年に撮影したもの。この物語は著者がその写真から勝手に想像して作り上げたものだけれども、ヘンリー・フォードやサラ・ベルナールなど実在の人々も出てきて、これはノンフィクションなのか?と錯覚してしまうほどよくできている。
でもね、面白い!とのめり込んで読むまでには少々時間がかかる。右端の男に自分が似ていると思う「私」の一人称で書かれる章の次に、実際に写真に写っている3人アドルフ、ペーター、フーベルトについて書かれた突然時代がさかのぼる章、その次はまた時代は戻って最初はこの写真との関わりがわからないピーター・メイズなる編集者……とどういう関係かわからないままいろんな物語が進むのだ。そしてフォードなど実在の人物について書かれた章も。
特に何かわくわくするようなことが起こるわけでもないまま、時代の説明のように進んでいく物語には実は少々飽きてきて。なんとなく斜め読みになったりもするのだが。
それが途中からバラバラだった物語に接点が現れて、最後にはその壮大な物語の辻褄があう。そう、後半急速に面白くなっていくのだ、斜め読みしたことを後悔するほどに。
と、読み終わってみればなかなか面白かったし、小説を読みながら20世紀について知ることができる、というお得な本ではあるのだが、途中までは結構「忍耐」が必要な感じで。あまり人には薦められないかも。
about bookdesign...
カバーはともかく本文がとても読みづらい。というのも2段組で段間にノンブルと柱があるんだけれども、それが大きすぎてとても目障りなのだ。天地のアキも狭くて(段間よりも狭く見える。実際は同じくらいなんだけど)、開いた時に文字に圧倒される感じ。「何か重めの本を読もう」という覚悟がある時じゃないととても読む気にはなれないよ。
これ以上頁を増やしたくないという気持ちもわかるけれども、決して読みやすくない文体の本なんだからもうちょっと余裕が欲しいなあ。