『大きなケーキは人にゆずろう』バーバラ・コーコラン

Use What You've Got & Other Business Lessons I Learned From My Mom BY Barbara Corcoran/大野晶子=訳

ISBN-478972137X
2003年10月
ソニー・マガジンズ
1400円+税
344頁/四六並製
イラストレーション:
大森裕子
仕事をするときにゲラは(ある場合は)全部読む、をモットーにしていたのだけれども、それが守れなくなったのはある時期からビジネス書の依頼が増えたからだ。ビジネス書と言っても、白地に大きな文字のタイトルがデンとあるコテコテのものではなくて“女性向けビジネス書”というか、有名どころでは「チーズはどこへ消えた?」のような一見そうは見えないけれども教訓にあふれているタイプのもの。あの本以来、そういったジャンルのものが増え、そんな中で私が作った本で当たったのがあったりしたから頼まれることがとても多くなったのだ。
ビジネス書を読むのが苦手なのは、どれも「そんなこといまさら言われたくないよ」ということばかりだからだ。もっと目から鱗、みたいなアドバイスがあるのかと思いきや、「成功の秘訣は当たり前のことの中に」といったことばかり。そしてやたら引用が多いのだが、「これ、どこかで読んだような……」と思うと別の本で同じ引用があったりするのだ。結局どれも当たり前の同じ内容を違う言い回しで書いている、という感じで全然発見がないのだよ。

しかし本書はちょっと趣が違う。そう、確かにこれも当たり前のことを書いていて、例えば「チアリーダーになりたいのなら、応援の仕方を知らなくちゃ」で言いたいことは「準備が肝心」と、もう涙が出そうに当たり前なのだけれども、面白いのはそうしたビジネスに役立つ理論を子どもの頃に母に言われたことにまつわるエピソードをからめて紹介していることだ。10人きょうだいを育てるお母さんはなかなか強烈なキャラクター。そして著者自身も強烈、というわけで教訓うんぬんよりも手軽な小説を読むような感覚で読めてしまう。そして読み終わってみると、当たり前のことなのに忘れていた教訓がちゃんと頭に入っているという仕掛け。だから私のように「ビジネス書なんて……」と思っている人にはとってもオススメなんだけれども、そういう人はそもそもビジネス書の棚になんて近づかない。でもってコテコテのビジネス書が好きな人はこういうのは手に取らない……というわけで売り方が難しいだろうなあ。

ところで。タイトルの「大きなケーキは……」は子どもの頃兄弟でケーキを分けたときのことを思い出しながら、ビジネスパートナーと会社を二分するときのお話。どうしても欲しいスタッフがいるのだが、先に彼女を取ると相手が黙っちゃいないだろう、そこで先に一番の稼ぎ頭を相手に取らせることで自分の欲しいスタッフをすんなり手に入れる、ということなんだけどね、もしも相手も同じスタッフを欲しがっていて先に取られちゃったらどうするのよ、なんてつっこんでみたりして。

2004年11月19日(金)02:47 by PINO - Category: bookguide
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2004/12/09 09:09

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