ISBN-4488016294
2000年7月
東京創元社
1900円+税
288頁/四六並製
装幀=柳川貴代
(Fragment)
装画=Jacques
PREVERT
読むきっかけになったのはメタローグ『ことし読む本いち押しガイド2001』で岡野宏文氏が一番に挙げていたからだ。しかし……。
20の短編からなるこの本。表題作でもある一つ目の短編はキツネにつままれたような気持ちで読む。が、二つ目、三つ目と読み進めていくうちに、本当に吐き気をもよおしてきた。そして五つ目まで読んで、もう辞めようと。おそらくその先にはもっと気分の悪くなる世界が待っているに違いないからだ。
高校生の頃貪るように読んだ大好きな筒井康隆の初期の作品の中には、今では読み返したくないような気持ちの悪いものも多々ある。そしてやはり当時はまっていたのが阿刀田高の短編だ。あの頃だったらこの本のことも読み切れただろうか。
若い時ほど想像力が優っている、とよく言われるが。歳を重ねてからの想像は、経験や知識の裏付けがあるものなのだ。だから前は、例えば“切断された足”を考えたとき、それはスパッとした切り口のつるりとしたマネキンの足のようなものなのだけれども、歳をとるともうそういう想像はできない。切り口から液体が流れ、変色し、異臭を放つ足なのだ。だから気分が悪くなる。
想像力をリセットできない限り、多分もうこの本は読まないだろう。