『ジョン・ランプリエールの辞書』ローレンス・ノーフォーク

Lempriere's Dictionary by LAWRENCE NORFOLK/青木純子=訳

ISBN-4488016286
2000年3月
東京創元社
5000円+税
608頁/四六上製丸背
装幀=中島かほる
カバー・扉絵=建石修志
600頁超、2段組のこの本を読もうと思ったきっかけは何だっただろうか。本選びの参考にしている『ことし読む本いち押しガイド』の2001年版では永江朗、小谷真理、大森望の3氏が挙げているけれども、どれも「読まなきゃ」と思わせるほどの説得力はない。とするとやっぱり朝日の書評欄に載ったのかなあ。

主人公、ジョン・ランプリエールは実在の人物だそうな。『古典籍固有名詞辞典』なるものを18ヶ月で書き上げたそうなのだが、本書はそれを書いている間に彼の周りで起こった事件、というかその辞典を書く事自体も事件の一部なのだが、の物語。登場人物や事柄には実在のことも混じるけれどもフィクションだ。

恥ずかしながら歴史は苦手な科目だったので、「東インド会社」という名称は覚えていても、その背景ときたらもう忘却の彼方だ。「ユグノー弾圧」に至っては「なんだっけ?」という範囲で。その辺の時代に詳しい人であったらもっと面白く読めると思う。あと必要なのは神話の知識か。いわばこれはヨーロッパ版時代劇か。日本人なら誰でも葵の紋の印籠にひれ伏す理由がわかるように、この本の中には西洋人にしかわからないモチーフがあるのかもしれない。

なんて書くと理解しがたい物語のようだが。600頁強を読み切らせるだけの面白さがこの本にはある。ただね、面白いことに気付くまで読むのが少々辛かったと言うか。最初のうちはわけのわからないことが多すぎる。理解できないまままた次の不思議なことがあり、登場人物も増え……で嫌になってきた頃に、いろんな事柄が繋がったり、謎が解けたりして一気に面白く。ただ「あれはこういうことだったのか!」と思って「あれ」をもう一度読もうと思っても、このページ数だとそこを探して戻るのが難しいのだよ。よく大して難解でもない本でも最初に「主な登場人物」みたいなのがあるじゃないですか。この本にこそそれが欲しいよ。

読み終わって謎が解けた今、もう一度最初から読み直してひとつひとつ確認したい。が、すでに一度延長している図書館の返却期限が迫っているからそれも無理そうだ(延長は1回まで。しかし5000円って……なかなか買う人はいないよね)。実は一つだけまだはっきりしない謎があるんだけど。エビンがジャージー島で会ったというセプティマスにそっくりな人は誰? 火が怖いのはなぜ? ああ、やっぱりもう一度読まないと。

[追記]図書館の本ゆえ帯なしだったのだが、こんな帯文があったらしい。
エーコ+ピンチョン+ディケンズ+007!
な、なんかちょっと違うかも?!

2005年06月29日(水)15:55 by PINO - Category: bookguide
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