ISBN-4314008571
1999年10月
紀伊国屋書店
3800円+税
432頁/四六上製丸背
装画=長崎訓子
装丁=木庭貴信
(オクターヴ)
多分朝日の書評がきっかけと思われるのだが。
大好きな中米が舞台なので、わくわくしながら本を開いたのだが、中米といってもカリブ海の小島マルティニック島の話なのでどうも勝手が違う。住民の多くは黒人であるが、混血により肌の色は微妙に異なっている。タイトルの“コーヒーの水”とは主要人物の名前で、薄めたコーヒーのような肌の色からそう呼ばれているのだ。
アンティーリャという女性の死から始まるが、しかし物語の中で彼女は生きている。“第一章”とかではなくて“第一の輪”“第二の輪”となっている通り、この本の中での時間は直線的には進まない。進んでは戻り、どれが現在なのか、過去はどれくらい前のことなのか、とても読み手を混乱させる作りになっている。そして死から始まるからなにかショッキングなことが起こる本かと思いきや、人々は生きていて、死んでいて、ここでは生も死も同じように混じりあって生活の中にあるのだ。
ところでこの本、図書館で借りたのだが、なぜか“ジュニア”の棚にあった。生と死の混じりあった世界では、人々はあちらこちらで交わる、倉庫の粉の上で、草むらで、夢魔となって忍び込んで。うーむ、決してジュニア向けではないでしょう、返却する時に言ってみよう。
about bookdesign...
クレジットを見て驚いた、イラストは『チーズはどこへ消えた?』などで大ブレイクした長崎訓子さん。こんな絵も描くのね、ととても驚く。が、あらためて経歴を見てみると大学での専攻はテキスタイルデザインなのか、ちょっと納得。