東京公演=2000年5月11日〜6月2日/東京グローブ座
大阪公演=2000年6月7日〜11日/シアター・ドラマシティ
観劇日=2000年5月12日19:00開演
CAST=加納幸和・麿赤兒・大高洋夫・筒井真理子・大倉孝二・乾喜美子・旗島伸子・高橋拓自・生方和代・横塚新之介・栄島智・宮下今日子・田中貞行
作/演出=鴻上尚史
鴻上ネットワークを観るのは二度目。前回の「ものがたり降る夜」は正直あまり面白いとは思えませんでした。鴻上さんがお尻出して踊ったり、旗島さんが全裸になったり、って驚かされる場面は多かったけれど、ストーリー的にはなんか……こんなこと今さらわざわざ鴻上さんに言われなくてもいいよ、って感じでした。それが鴻上さんがロンドンから帰って最初の芝居だったから、やっぱり勢いのあるときに外国なんかに行って現場を離れちゃったらダメなんだ、と思ってしまった。ただ旗島伸子、高橋拓自の二人の役者は、その前に観たワークショップ公演「コーマ・エンジェル」に比べて格段と良くなっていたので、若い役者達が確実に育っていることを実感できたのはよかったけれども。
で、今回の第2回公演。正直、これもダメだったらもう終わりなのかもしれない、そのくらいの気持ちで観に行きました。
いつものように制作N氏にお願いして券を取っていただくのだけれど、今回はかなり早い段階から「平日にしてもらえる?」と言われてました。平日の予定なんていつも当日じゃないと判らない。なので急に行くことになったので……ごめん>N嬢。
会場は東京グローブ座。ここに来るのは初めてです。雰囲気のある良い劇場なのだけれど、新大久保って町にはちょっと場違いか? ずーっと昔、山手線の中から初めて見たときは宗教団体の建物かと思ってしまった。
芝居の内容について書いてしまうと、ネタバレにもなるし、なによりこういうものって文字で読んでも全然面白くないだろうから書きませんが、「ものがたり〜」より数倍良かった! 「ものがたり〜」はセックス論で、根が真面目な鴻上さんがこういうテーマを扱うと、やはり照れがあるのかなんか中途半端。でも今回は得意のメディア論。おまけに役者陣が素晴らしい。何といっても麿赤兒! この人を見たのは初めてなのだけれど、ものすごい存在感なのに意外と小さい。芙蓉様の役で、お付のものを四人従えて踊りながら出てくるシーンがあるのだが、もうこれは一生忘れられん、という感動でした。ずーっと前に、歌舞伎座で新水流の日舞の公演に招待されたことがあるのですが、その時のゲストが団十郎だったのだけれども、彼が出たときに舞台全体(いや歌舞伎座全体かも)の空気がさーっと動いた。それまで踊っていた人は皆その人の周りの空気しか動かしていなかったのだ、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』の言葉を借りれば、まさに「本物は違う!」と思った。その時のように、麿赤兒が手を上げただけで、ごーっと音をたてて空気が動く。指を差すと、私の席は横の方なので決して直接指を差されたわけではないのに、自分が指さされたかのように緊張してしまう。これはいつか絶対大駱駝艦の舞台を見に行かなければ、と思ったのでした。
勿論他の役者さんも良い。花組芝居の加納幸和、ナイロン100℃の大倉孝二はどちらも初めて見たのですが、とてもきちんとしていて安心してみられる加納さんと、不安にさせるキャラクター(でも決してやりすぎな感じはないのがよい)大倉さん、二人の個性が十分に生かされているような役でした。こういったメンバーの中で、やはり乾喜美子(ニュースステーションのお天気お姉さんだった人)はちょっとキビシイ。だいぶセリフが棒読み……でもまあよくやった。旗島伸子はほんとに立派になりました。ベテランの中で十分にわたりあっている。ただ、彼女、声が割れるのがちょっと難点。生方和代は松葉づえをついていたので、最初そういう役なのかと思ったら、どうも本当に怪我をしているようです。
チケット、だいぶ売れているようで入手困難な日もあると思いますが、ぜひぜひみて欲しいです。新しいサードステージの始まりなのだから。