ISBN-4309012582
1999年/河出書房新社
1400円+税
装幀:ミルキィ・イソベ
この本の題名を最初に聞いたのは、友人の編集者N嬢から。東京都現代美術館にアラーキーの写真展を観に行こうとしていて、木場の駅から歩く道すがら、今こんな本を読んでいる、と紹介されたのでありました。ちなみにその時はお互い徹夜明けで、妙にハイになって話し込んでいたものだから、気付いたら隣の駅にいた。全然違う方向に歩いていたという次第。
その後また彼女に会ったときに、「読み終わったけれど途中からいまひとつだった」みたいなことを聞かされたので、ふーん、とその本のことはしばし忘れていたのでありました。
99年も終わりに近づいてきて、恒例『
ことし読む本いち押しガイド』の季節。記念すべき(?)2000年版で、編集部からのいち押しにこの本が。で、これまた図書館で発見したので借りてきたのであります。
読んでみると、うーん、これはいかにも出版関係者好みというか。途中実在の作家などが伏せ字で出てきますが、これもわからないと面白くないでしょう。主人公は女作家“八百木千本”で、彼女は笙野頼子にソックリという設定になっている。その部屋に“カニバットの親衛隊”なる女達からひっきりなしにFAXや郵便が送られてくるのである。途中、それがゾンビだった、とわかるあたりから、ちょっとつまらなくなってくる。ラストは急速に終わりに行ったな、というか。まあこうでもなきゃ終われないというのもありますが。でも女達からのFAXの文章と八百木と笙野とが入り乱れた混沌の過程はなかなか面白いのであります。言葉の使い方は目茶苦茶うまい。カバーには記号化された銀色の女達がウヨウヨいるのですが、言葉がまさにこの女達のように、ウヨウヨわいて押し寄せてくる感じ。
「いやー今何が売れるのか全然わからないよ」という出版関係者にお勧め。日頃『
鉄道員(ぽっぽや)』でなぜ皆泣けるのか?(私も泣かなかったけど)『
小さいことにくよくよするな!』でなぜ皆励まされるのか理解できない(私は読んでもいない、通勤電車で隣のヤマンバ系コギャルが読んでいるのを覗いたくらい)あなたにはきっと面白いことでしょう。でもそんなあなたにはベストセラーは縁がないかも???