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『さゆり』 アーサー・ゴールデン
Memoirs of a Geisha by Arthur Golden/ 小川高義=訳
ISBN-4163188304
ISBN-4163188401
1999年/文藝春秋
上:1524円+税
336頁
下:1524円+税
320頁
四六上製
装幀:大久保明子
題字:寺田文正堂
撮影:杉山拓也
ずっと読みたかったのだけれども、図書館の返却期限(2週間)までに読める自信がなくて手が出せなかった本。でもゴールデンウィークなら少しは時間もあるかしら、と思いきって借りてみた。そうしたらまああっという間に読んでしまった。
外国人が書いた、芸妓が主人公の本、っていうとイロモノを想像してしまうけれども、この本は読んでいると著者が外国人であることを忘れてしまう。もしかすると間違った記述もあるのかもしれないが、我々日本人だって芸妓についてそんなに詳しいわけじゃあない。
主人公と姉は漁村から京都へ、姉は女郎屋へ、妹は置屋へと売られる。で、ここはアメリカ的だなあと思ったのは、結局姉妹二人ともそれなりに幸せになるということ。姉は早くに脱走して、故郷の男と駆け落ちする。妹は売れっ子の芸妓になった後、最後には惚れた男が旦那になる、というのは、こういった身売りの果ては不幸になるもんだと思い込んでいる我々日本人には意外な結末だったりする。
もっと売れると「『さゆり』の読み方」なんて本が出て、あら探しされたり、当時の芸妓の風俗について解説されたりもしそうですが。ともかく芸妓について興味がわいてきたので、そういった風俗についてお薦めの本をご存知の方、掲示板にてお知らせくださいませ。
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著者が取材した京都の方が持っていた着物の写真。
2分冊の本をデザインするのって結構楽しいのだけれども、仕事的にはとても少ないのでちょっと羨ましかったりして。
『早く昔になればいい』 久世光彦
by KUZE Teruhiko
ISBN-4120023869
1994年/中央公論社
1100円+税
四六上製/220頁
カバー原画:智内兄助「催青」
装幀:中島かほる
なんていいタイトルなんだろう、図書館でこの本を見かけるたびにそう思っていました。なのになかなか読むに至らなかったのは、なんともおどろおどろしいカバーのせい。
ようやく読み始めてみて、素敵なタイトルの出典は夢二だとわかる。物語は、中年になった主人公が子どもの頃住んでいた村に行き、なんとも恐ろしい回想から始まる。いつも思うのだけれども、久世氏の文章は美しくて恐ろしい。そして女性が虐げられる場面が多くて、ここでは狂女が少年たちに輪姦される、しかも村中の男が彼女とそういった関係にある、というなんとも痛ましい(しかし昔には現実にあっただろうと思われる)場面が描かれているのだけれども、そういったことをあまり不快に思わずに受け止められるのは、その文章の美しさのせいに違いない。木々や狂女の着物の柄などがあまりに鮮やかに描かれているので、幻想的な美しい光景のようにさえ思えてしまう。
その美しい文章が、狂女の死の恐ろしい真相をだんだんと明らかにしていくのは引き込まれるように一気に読んでしまうのだけれども、急に現実離れしていくラストはちょっと頂けない。読み終わって、なんとも消化不良というか、落ち着かない気分。
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久世さんの本のデザインはどうもどれも気に入らない。この本のカバーの絵もなんとも恐ろしくて、横溝正史シリーズみたいだ。
『ミカコ20歳』 イトウミカコ
by ITOH Mikako
ISBN-4887591071
2000年
ディスカヴァー
トゥエンティワン
1200円+税
四六上製/144頁
デザイン:森葉子
仕事で本をたくさんいただきます。自分がデザインした本はもちろんですが、それ以外に資料として同ジャンルの本や同じ著者の本、初めて仕事をする出版社からは社名の入れ方などの見本として、それから束見本として同じ本文用紙で同じページ数の本など。そういう理由でもらうわけだから読みたい本がもらえるわけではなくて、あまり興味のない本がどんどん増えてしまうことも。でも暇つぶしにそういう本を読んでみたりすると、普通なら絶対に手に取らないような本が面白かったりすることもあるのですが。
本書もそんな理由で頂いたもので、パラパラとめくってみたところすぐに読めそうだったので読んでみた。著者は学生をしながらライターをやっているらしい。といっても彼女が書いている雑誌が「CUTiE」やら「セブンティーン」やら私に縁のないものばかりなので、どれくらい人気のあるライターなのかはよくわからない。
そんな彼女は、子どもの頃は肥満児でいじめられっ子で、頑張ってダイエットして、彼氏と同棲したいがために東京の大学に入って、で、ライターになって……っていう一種のサクセスストーリー。でも子供時代がものすごく不幸だとも思えないし、今ものすごく成功しているって気もしない。なんか普通だ。正確にいうと、普通という円の中のど真ん中ではなくて、ちょっと端の方というか、でもギリギリ端っこまではいかない、ぐらいの位置づけ。あとは彼氏がどんなに素晴らしいか、っていうノロケで、こういうのを読むとひねくれ者の私は「別れた後にこれ読んだら恥ずかしいだろうな」などと思ってしまう。まあこういう人は別れることなんて絶対にない、なんて思っているのだろうけれど。うーん、どういう人が読むのだろう。私のようなひとまわりも歳の違う人は読者対象ではないのだろうと思うのだけれども、じゃあ同世代の人なら共感したり得るものがあったりするのだろうか。なんか著者が自己満足して、身内に配っちゃったりするような本、っていう気もしますが、実際の売れ行きは知りません。
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で、そのように自己満足というか、友だちノリで作っている感じの本なので、こういう場合のデザインは著者本人が気に入ればいいのではないかと。でも細かいことなんですが、本文のカギやパーレンの後があいているのがすごく気になる。これってDTPの単純なミスというか、でもなんで校正者が気付かないんでしょう。
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