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『女たちのジハード』 篠田節子

by SHINODA Setsuko

ISBN-4087742393

1997年/集英社
1900円+税
472頁
装丁:藤村雅史
装画:関彩子
文学賞なるものには興味がなくて、直木賞受賞作などはバカにしていました(『赤目四十八瀧心中未遂』を読んで多少認識は変わったけれど)。それにこのタイトルはなんとも気に入らない。「女たち」っていうのもあかぬけないし、おまけに「ジハード」ときたもんだ。著者の小説は読んだことはなかったけれども、ホラーっぽいイメージがあったし(ホラーは嫌い)唯一読んだエッセイ『三日やったらやめられない』に描かれている彼女の生活はそんなに魅力的なものでもなかったし。だいたい、名字のあまり出てこない、名前だけの女たちがダラダラと話し続ける小説っていうと、群ようこの「勝手にさせて」(単行本では『なたぎり三人女』)を筆頭に、なんかイライラさせるものが多いし。と、まあ本当だったら決して手を伸ばさない類いの本なのだけれども、周りでの評判がすこぶるよろしい。で、図書館で見つけたので借りてみました。

読まれた方々が皆さんおっしゃるには「主人公の中に必ず一人自分に似たタイプがいる」ってことだったのだけれども、正直そこまで感情移入できる人物はいなかった。強いて言えば、紗織が若いころの自分に一番近いかもしれない。仕事を始めたばかりの頃は、何の野心も向上心もなくただダラダラと出社してくる同僚達にいらだちを覚えていたのは確かだから。もっとも彼女のようにアメリカに飛び出していくパワーはなかったけれども。ちなみに周りで一番人気があったのは康子でした。なぜか私の周りにはマンションを買う女性が多いせいかも。

しかし前半は、誇張されているとはいえこういう人っているよな、って感じなのだけれども、ラストはみんながみんな突飛な人生を歩むっていうのがちょっとやり過ぎというか。まあ全体に楽しく読めたけど。

about bookdesign...

なぜにトマトのイラスト? と思ったけれどもそれは物語の終わりの方でわかる。ハマっているとも思えないけど、かといっていかにも「ジハード」って感じにしたらますます読者はひいてしまうだろうし……こういう本って難しい。
2001年06月21日(木)14:10 PINO - No comments - 1 TrackbackTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『煩悩カフェ』 酒井順子

by SAKAI Junko

ISBN-4877283315

1999年/幻冬舎
1300円+税
216頁
ブックデザイン:佐藤可士和
この人の本では他に『ホメるが勝ち』というのを読んだことがあります。「爆笑!」とまではいかないけれども「こういうのってあるある!」とちょっとニヤっとしてしまうような笑いがある。

本書では「ボーイフレンドの手帳を盗み読みしたい煩悩」や「『誰にも言わないでね』と言われたネタをバラしたい煩悩」のような誰でも思いつくようなものをから、そんな煩悩があるのかい!と気付かされるようなものまで29個の煩悩が紹介されています。

気付かされたものとしては「同じ話を二度された時、『それ、前にも聞いた』と言いたくなる煩悩」。
これ、私は結構言ってしまうのですが……それって大人として間違っているのか、それとも煩悩から解脱しているのか。しかし言われたほうは傷ついているのかもしれない、すみません勉強になりました。

それから「他人のうんちが出なければいいなと思う煩悩」。変な話で恐縮ですが、私は便秘というものとあまり縁がありません。だからこんな煩悩があるなんて思いもしなかった。高校の時、浅間山荘(もちろん事件のものとは無関係)という学校の保養所みたいなのがありまして、これがまた山荘という言葉がぴったりな設備のところなのですが、ある朝水が出なくなってしまいました。なのでトイレに入るときには、風呂の残り湯をバケツに汲んで持っていくことに。トイレから出てくると、同級生N嬢が「マルだった?」ときいてきた。これはバケツで水を流す、ということに対して言っているのかと思いイエスと答えると、N嬢は「いいなあ、私はまたお昼に頑張るわ」との反応。質問の本当の意味がわかるまでにちょっと時間がかかり、その後もいろんな人に同じ質問をぶつけている彼女を見ながら、人の便通にかくも関心があるというのが不思議だったのだけれども……そういう煩悩もあるということがわかってまたまた勉強になりました。

というわけで、笑えるけれどももしかしたら勉強にもなるかもしれない一冊。

about bookdesign...

こういうデザインができるのってすごいことです。タイトル、著者名のみならず、帯まで全部手書き文字。で、こういうハマる文字が書けることってすごいことです。私は手書き文字はもちろんダメだけど、Macでカチッとした文字を作っても、なんか手書きの癖を引きずってしまうのか、見る人が見ると私の字だとすぐわかるらしい(自分でもわかるけど)。文字を書くのにも絵心って必要。
2001年05月25日(金)14:00 PINO - No comments - 2 TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『冬の伽藍』 小池真理子

by KOIKE Mariko

ISBN-4062096838

1999年/講談社
1700円+税
468頁/四六上製
装幀:緒方修一
装画:板垣俊
前から気になっていた作家なのだけれども読むのは初めて。以前住んでいたK市の図書館では人気のようでいつも貸出中だったし、たまにあっても本がボロくてあまり読む気になれなかった。今住んでいるF市の図書館はたとえ人気作家だとしても、棚が空くほど貸出中なんてことはないし、本はきれいだし、新刊はどんどん入るし、人はいないし……私としては嬉しいけれども、税金の使い方としては間違っているんじゃないのか? そんなことはともかく。

彼女に興味を持ったのは、何かの書評に「ポスト宮本輝」のようなことが書いてあったから。宮本輝は結構好きな作家なので(その割にはまだここで取り上げたことがないけれども)。ところが読んでみると大分違う。宮本輝の本を読むと、寒い日の朝に速足で歩いているような感覚がある。体の中は暑いのに顔は冷たい、みたいな、読んだときの自分の状態に関係なくストレートにやってくるような……変なたとえですがうまく伝わるでしょうか。

この本にはそういうストレートさはない。若くして未亡人となった主人公、悠子は薬剤師として勤める診療所のハンサムな若い医師と恋愛関係になるのだけれども、その医師の父の誘いを断ることができない。若い医師ともういい歳をしたその父親なんて比べるまでもないではないか、どうしてその間で揺れるようなことをするのだろう、破滅を招くだけなのに、と最初は半ばあきれるような気分になるのだけれども、読み進めるにつれて、だんだんと彼女の気持ちがわかるようになってくる。でもこういった感情が理解できるのは女性だけなのではないだろうか。男性から見たらただ淫奔な女性、としか見えないに違いない。その気持ちは説明できないけれども、これは女性が書く本であり、女性が読む本なのだと思う。

そんな主人公たちの関係のせいで悲しい事件がおきるところで1章が終わる。数年間の手紙のやり取りの2章、そしてその後の3章からなるのだけれども、どうもその3章が好きになれない。突然の不治の病や、度重なる偶然に、急に物語は非現実的なものになってすーっと遠くに行ってしまう。これによって悲しいなりにもハッピーエンドとなるのだけれども、せっかくの女性にしか描けないせつない物語がただのメロドラマになってしまったようで残念。
最終更新日時:2007年01月15日15:34:18
2001年05月18日(金)13:50 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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