Jump to navigation
«Prev ||
1 |
2 |
3 |...|
137 |
138 |
139 || Next»
『説教師カニバットと百人の危ない美女』 笙野頼子
by SHONO Yoriko
ISBN4-309-01258-2
1999年/河出書房新社
1400円+税
装幀:ミルキィ・イソベ
この本の題名を最初に聞いたのは、友人の編集者N嬢から。東京都現代美術館にアラーキーの写真展を観に行こうとしていて、木場の駅から歩く道すがら、今こんな本を読んでいる、と紹介されたのでありました。ちなみにその時はお互い徹夜明けで、妙にハイになって話し込んでいたものだから、気付いたら隣の駅にいた。全然違う方向に歩いていたという次第。
その後また彼女に会ったときに、「読み終わったけれど途中からいまひとつだった」みたいなことを聞かされたので、ふーん、とその本のことはしばし忘れていたのでありました。
99年も終わりに近づいてきて、恒例『
ことし読む本いち押しガイド』の季節。記念すべき(?)2000年版で、編集部からのいち押しにこの本が。で、これまた図書館で発見したので借りてきたのであります。
読んでみると、うーん、これはいかにも出版関係者好みというか。途中実在の作家などが伏せ字で出てきますが、これもわからないと面白くないでしょう。主人公は女作家“八百木千本”で、彼女は笙野頼子にソックリという設定になっている。その部屋に“カニバットの親衛隊”なる女達からひっきりなしにFAXや郵便が送られてくるのである。途中、それがゾンビだった、とわかるあたりから、ちょっとつまらなくなってくる。ラストは急速に終わりに行ったな、というか。まあこうでもなきゃ終われないというのもありますが。でも女達からのFAXの文章と八百木と笙野とが入り乱れた混沌の過程はなかなか面白いのであります。言葉の使い方は目茶苦茶うまい。カバーには記号化された銀色の女達がウヨウヨいるのですが、言葉がまさにこの女達のように、ウヨウヨわいて押し寄せてくる感じ。
「いやー今何が売れるのか全然わからないよ」という出版関係者にお勧め。日頃『
鉄道員(ぽっぽや)』でなぜ皆泣けるのか?(私も泣かなかったけど)『
小さいことにくよくよするな!』でなぜ皆励まされるのか理解できない(私は読んでもいない、通勤電車で隣のヤマンバ系コギャルが読んでいるのを覗いたくらい)あなたにはきっと面白いことでしょう。でもそんなあなたにはベストセラーは縁がないかも???
『ぼくは始祖鳥になりたい』 宮内勝典
by MIYAUCHI Katsusuke
上:ISBN4-08-774322-5
下:ISBN4-08-774323-3
1998年/集英社
上下各1800円+税
装幀:坂川栄治
装画:ジェームズ・タレル「気団」
書店で本を買うときは、装幀が結構重要なのだけれど、図書館の場合、平積みになんかなってないし、なによりカバーがビッチリとシールで覆われてしまっているから、デザインを楽しむ余地なんてない。おまけに帯もないから内容なんて想像付かない。なので、ある程度読みたい本を決めて借りに行くことが多い。
で、その時に何を参考にするかというと、朝日新聞日曜の書評とメタローグから毎年末に出る『
ことし読む本いち押しガイド』。これらは結構趣向があうのか、外すことは少ないので。
その『いち押しガイド』の昨年版で、気になっていたのがこの本。恐竜好きなので、始祖鳥という言葉にはそそられるし、何よりも大好きな中南米も舞台になっているらしい。が、上下2巻というのはなかなか購入にはいたらず……最近近所(といっても二駅先)にある図書館に行き始めたので早速借りてきた。
読み始めると、すぐに出てくるスプーン曲げ超能力青年。シマッタ、これはSF小説であったか、とちょっとガッカリするも、読み進めるとどうもそうでもない。でも……読む前の期待が大きすぎたのがいけなかったのか、手放しで面白いとはいえません。『いち押し〜』にあったように、風景の描写はうまい、特に色彩感覚がいい。読みながらその風景を想像して、そこに漂っているのはなんとも心地よい。でも人物描写はちょっと弱いかなあ。主人公はなぜこうもあちこちに行くのか、途中登場人物の男性が、女性を射殺してしまう、この辺からわからない。別の女性は密林から帰った後、人が違ったようになってしまうのだけれど、その辺も。
上下2巻ですが、上巻の方が断然面白い。なんかだんだん収拾がつかなくなって、終わったような、すっきりしなさがある。初出は「すばる」だそうだが、全面的に改稿したそうで、元の状態もちょっと気になる。
『ラニーニャ』 伊藤比呂美
la nina by ITO Hiromi
ISBN4-10-432401-9
1999年/新潮社
1300円+税
四六上製/192頁
カバー写真撮影:杜英夫
装幀:新潮社装幀室
『
なにたべた?』という本を読んだ。これは伊藤比呂美と枝元なほみのFAXレターを本にしたものなのだけれど、企画を聞いた時には正直「ツマンなそー」と思ってしまった。そんな個人的な手紙のやり取りなんか他人が読んで面白いのか?と。ところがなかなか面白い。まずお互いが食べたものを報告するのだけれど、食べ物には生活が出るんだなーと当たり前といえば当たり前なのかもしれないけれど実感する。枝元氏は料理研究家だから仕事で凝ったものを食べたり、はたまたひとり寂しく残り物を食べたり、男が来て奮発してみたり。はたや伊藤氏は子ども三人に、日本の男アメリカの男で、自分で作ったり子どもが作ったり、男が作ったり。文章のうまさではやはり詩人の伊藤氏に軍配ですが、料理についてはさすがの枝元氏。感心したのは、インゲンと生姜の組み合わせの話で、同じ組み合わせでも、インゲンをゆでた場合は、刻み生姜、素揚げの場合はおろし生姜、というのはなるほどと思った。で、伊藤氏の私生活がミョーに気になる。二人の男との関係や、荒れる子どもやなんやかやについてもっと読ませろー!という感じ。そんな時にこの本が発売されて、早速買ってみたわけです。
こちらは一応小説なのですが、でもやはり自分と家族たちについて書いている。『
なにたべた?』で素敵な外人の男、と思っていたのは、実は障害者でパソコンおたく。家は荒れ放題だし、子どもは拒食症になるし……で結構ツラかった。正直ちょっと読みづらかった。なんかカサカサしているというか。文体もプライベートな手紙である「なにたべた?」に比べると、冷たい感じ。でもラストは明るく終わるから救いがあるかな。
«Prev ||
1 |
2 |
3 |...|
137 |
138 |
139 || Next»
since 4 Jan, 2000. sorry, Japanese only. link permission free (please TrackBack!).
all contents by PINO. all rights reserved.