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『EROVOGUE』 撮影=伴田良輔

by HANDA Ryosuke

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ISBN4-10-427401-1
1998年/新潮社
3200円
ブックデザイン:
鈴木成一デザイン室
タイトルが「エロヴォーグ」ですよ! エロ+(ファッション誌の)ヴォーグなんだろうけど、エロのサイボーグじゃないの、ってくらい整形跡が写真ではっきりわかる方が約2名。
しかしなんてマイナー感あふれる写真集なんでしょう!モデルは6人ですが、一番有名なのは、濱田のりこ。誰?と思った方、元セイントフォーといえば思い出すでしょうか? セイントフォーですよ、あの宙返りとかしてた・・・。でも彼女はこのなかでは堂々の貫録で、許しましょう。
サイボーグな方のうちのお一人は、その筋では有名(?)な草凪純。「究極のくびれ」のために肋骨を取ってしまった方です。しかし、肋骨取るとウエストって細くなるものなんですかねえ???そして写真を見ていると、どうも肋骨だけじゃあないような・・・。
そんなことはどうでも良くて、わざわざこれをここで取り上げてまで言いたかったのは、「誰か伴田さんを元の物書きに戻して下さい!」ということ。でもスタジオまで買っちゃったようだし……
2000年01月19日(水)09:55 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『遠野小説』藤田朋子写真集/ 撮影=荒木経惟

photo by ARAKI Nobuyoshi

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ISBN4-89424-119-6
風雅書房
ブックデザイン:
鈴木成一デザイン室
このことについてこういう場所に書くのはどうかとも思ったのですが、例の騒動の時からずーっと私が言い続けてきたことなのでアップすることにしました。
正直言うと、ここ数年のアラーキーの写真に関しては、私は手放しで好きだとは言えません。「センチメンタルな旅」(もちろんリアルタイムで見ていませんが)は衝撃でした。あれは巷にあふれる嘘の写真を嫌って始めたことなのに、今の彼の写真は、スタイルという名の一種の嘘なんじゃないかしら。私は写真なんて嘘でも構わないと思っている、というより、どうせ嘘なんだから、夢を見させて欲しいんです。上にかいてきた文章でわかる通り、やっぱりきれいな写真が好きだ、写真集の中は現実逃避できるような場所であって欲しいのかもしれません。それは見たいものの違いだから仕方ないのかもしれないけれど、でも彼の最近の写真だって嘘じゃない?
彼の最近のモノクロコマ取りの写真たちにはエロスを感じられない。それらは醜くてこっけいなだけ。花の写真の方がよっぽど官能的だ。
でも、そんな彼の最近の写真集の中で、「遠野小説」は違っていました。タイトル通り、そこには小説がありました。下品さを売り物にしたヌードではなくて、裸にも必然性があります。写真を撮りながら出来上がって行った小説。
なんであんなことになったかは憶測の域を出ないから、ここには書きませんが、これを出すことは決して藤田氏にマイナスになるとは思えないのに。小説を演じる彼女はものすごく魅力的でした、今まで出たどんなドラマよりも。私が今まで見たヘアヌード写真集の中では文句なしの一番なのに……とても残念で、彼女にはすっかり失望しちゃいました。
書店で見ることは出来ないけれど、古本屋で見つけたら「買い!」の一冊。でも今、いくらぐらいするんでしょうね?
2000年01月19日(水)06:07 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『陛下』 久世光彦

by KUZE Teruhiko

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ISBN4-10-410101-X
1996年/新潮社
1553円+税
288頁
装画・挿画:建石修志
装幀:中島かほる
本読みにもいろんなタイプがいるようで、しばらく本を読まないと禁断症状が出て狂ったように読みふける人もいますが、私は逆にエンジンが冷えてしまって、読めなくなってしまう。お正月の間にすっかり冷めてしまいましたから、いまだにペースが戻りません。先の2冊は、気軽な読み物という感じだし、1章がとても短いから、読んじゃ休み読んじゃ休みしておりました。で、そろそろ長編小説でも読もうかと図書館で物色。ここで変な本を選んでしまうとエンストしちゃいますから真剣です。去年絶賛した車谷長吉かなあと「く」の棚に行き、久世光彦を発見。この人の本を読むのは初めてですが、前から気になる人だったので、挑戦することに。
久世氏というと演出家としての方が有名で、文部大臣賞をとったドラマ『女正月』は、新聞で見て、「不思議なタイトルだなあ」と思った記憶があります。ちょっとドラマ自体を見たかどうかはよく覚えていないのですが……実は私はあまりテレビって見ないんです。なんか騒々しくって。
「女正月」というタイトルの章は本書にもありました。本当のお正月は女は大忙しでのんびりご馳走など食べていられませんから、15日に、お飾りなどを燃やしてから半日が女の正月で皆で座り込んで飲み食いするんだとか。うーん、今年のお正月は、Y2K問題で出社の家人を尻目にのんびりしてしまいましたから、女正月も何もないですね。

と、前置きが長くなりましたが、本書は昭和初期、五・一五事件から二・二六事件の間の話。主人公は陸軍中尉で、他に軍人仲間や行きつけの娼家の女達、ちょっと問題のある主人公の家族などが主な登場人物。それで1章の半分も読まないうちにはたと気付いたのだけれど、とても自然に頭の中に情景が組み立てられているのです。例えば、坂があって途中に娼家があって、坂の下の方には酒屋や菓子屋、銭湯がある。坂の上には寺があって、金木犀が植わっている。そういったことが決して説明的でなく、でもしっかり書かれているから誰でも間違いなく位置関係などを把握することが出来る。これは久世氏が演出家だからなのでしょうか、この作品をドラマにしようとしたら迷うことなくセットが組めそう。先月読んだ筒井康隆とは対照的です。とにかくドラマっぽいのですね(悪い意味ではなく)。例外は匂いでしょうか。とにかく匂いに関する描写がたくさん出てくる。金木犀の香り。女郎部屋の消毒薬や体臭。文章は匂うけれど、テレビドラマでにおいを表すのは難しい。だからそのうっぷんを晴らすかのようにやけに文章は匂うのかな。それにつけてもすべてが美しく明るい。女郎も然り、主人公の狂った姉も然り、きわめつけは義眼の裏に天皇陛下の肖像を入れているという革命家なのだが、そういった人たちが決して陰鬱でもなく、不気味でもなく、美しく描かれている。そういうのを嘘だと言う人もいるかもしれないけれど、私は小説なんてフィクションなのだから嘘は当たり前、美しいだけの世界があってもいいと思うんです。美しいものばかり読むのも疲れるかもしれないけれど、筒井康隆や笙野頼子など、言葉の洪水に圧倒されてばかりいるのも疲れる。だから時にはこういう世界もいいな、と新年初の長編小説としてはいい選択だったでしょう。
しかし! そのせっかくの美しい世界に水を差すのが唐突に出てくる不気味な挿画。もともと私は小説で文中に挿画があるのはとても嫌いで、入れるのなら章扉を立ててそこにいれろと思うのだけれど、それにしてもこんなおどろおどろしい絵を入れたら台なしではないか。だいたい……ちょっと苦言を書かせてもらうと、この本の編集者は売る気があるんでしょうか、上の写真では小さくて判りにくいかもしれませんが、カバーには金木犀とギリシャ彫刻の瀕死の奴隷像のようなセクシーな男性像。全く内容とあっていない。もっと言えば、タイトル。確かに「陛下」というのはこの小説で大事なキーワードなのだけれど、でもこのタイトルと装画で、書店で手に取る人は少ないと思うぞ。まあどんな帯がついていたかは知らないけれど。そのくせカバーはやたら高い紙使っているし、タイトルは箔押しだし。そういう自分は図書館でこれを選んだではないか、とおっしゃるかもしれませんが、図書館と書店では選ぶ本が違う。図書館の場合は、まず作家を決めて、知っているタイトルがあればそれにするけれど、ない場合は……一番きれいなのを借りる。本当は汚れている本のほうが読む人が多いわけだから面白いのかもしれないけれど、日頃きれいな本ばかり周りにあるから、あんまり汚れていると手が出ないのです。昔は気にならなかったのに、これは職業病か?
2000年01月16日(日)23:40 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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