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『空気げんこつ』 鹿島 茂
by KASHIMA Shigeru
ISBN-4890369821
1998年
ネスコ+文藝春秋
1700円+税
240頁
装丁:中森陽三
以前は、フランス=オシャレ、みたいなのがこっぱずかしくて、ヨーロッパの中ではあえて遠ざけていた気がします。ファッションもふと気付くと、イタリア、スペイン、イギリス、とあえてフランスのブランドは持っていないし。それが、フランスって面白いじゃん!と思ったのは鹿島氏のせいかも。最初は愛読している雑誌「
is」(ポーラ文化研究所)からで、お薦めは何と言っても『
愛書狂』(角川春樹事務所)。氏はすごい勢いで著書を出していくので、読むのがなかなか追いつかないのだけれど。
で、本書。幻冬舎のPR誌「
星星峡」で紹介されているのを見て、ずっと気になっていました。現代社会の気に入らないことたちに“空気げんこつ”をお見舞いするという、いままでとはちょっと違う内容に魅かれて、何度も買おうと思ったのだけれど、なにせ装丁がちょっと寂しすぎる。それを図書館で見つけたので、嬉々として借りてきたのであります。
ところが内容もちょっと寂しかった。コギャルの厚底靴やワインブーム、くだらないテレビ番組なんて、わざわざ鹿島氏が取り上げなくたって、もう散々言われ尽くされている。やっぱりフランス文学者なのだよ、だからフランスの話を書いているほうがはるかに面白い。
『説教師カニバットと百人の危ない美女』 笙野頼子
by SHONO Yoriko
ISBN-4309012582
1999年/河出書房新社
1400円+税
装幀:ミルキィ・イソベ
この本の題名を最初に聞いたのは、友人の編集者N嬢から。東京都現代美術館にアラーキーの写真展を観に行こうとしていて、木場の駅から歩く道すがら、今こんな本を読んでいる、と紹介されたのでありました。ちなみにその時はお互い徹夜明けで、妙にハイになって話し込んでいたものだから、気付いたら隣の駅にいた。全然違う方向に歩いていたという次第。
その後また彼女に会ったときに、「読み終わったけれど途中からいまひとつだった」みたいなことを聞かされたので、ふーん、とその本のことはしばし忘れていたのでありました。
99年も終わりに近づいてきて、恒例『
ことし読む本いち押しガイド』の季節。記念すべき(?)2000年版で、編集部からのいち押しにこの本が。で、これまた図書館で発見したので借りてきたのであります。
読んでみると、うーん、これはいかにも出版関係者好みというか。途中実在の作家などが伏せ字で出てきますが、これもわからないと面白くないでしょう。主人公は女作家“八百木千本”で、彼女は笙野頼子にソックリという設定になっている。その部屋に“カニバットの親衛隊”なる女達からひっきりなしにFAXや郵便が送られてくるのである。途中、それがゾンビだった、とわかるあたりから、ちょっとつまらなくなってくる。ラストは急速に終わりに行ったな、というか。まあこうでもなきゃ終われないというのもありますが。でも女達からのFAXの文章と八百木と笙野とが入り乱れた混沌の過程はなかなか面白いのであります。言葉の使い方は目茶苦茶うまい。カバーには記号化された銀色の女達がウヨウヨいるのですが、言葉がまさにこの女達のように、ウヨウヨわいて押し寄せてくる感じ。
「いやー今何が売れるのか全然わからないよ」という出版関係者にお勧め。日頃『
鉄道員(ぽっぽや)』でなぜ皆泣けるのか?(私も泣かなかったけど)『
小さいことにくよくよするな!』でなぜ皆励まされるのか理解できない(私は読んでもいない、通勤電車で隣のヤマンバ系コギャルが読んでいるのを覗いたくらい)あなたにはきっと面白いことでしょう。でもそんなあなたにはベストセラーは縁がないかも???
『ぼくは始祖鳥になりたい』 宮内勝典
by MIYAUCHI Katsusuke
ISBN-4087743225
ISBN-4087743233
1998年/集英社
上下各1800円+税
装幀:坂川栄治
装画:ジェームズ・タレル「気団」
書店で本を買うときは、装幀が結構重要なのだけれど、図書館の場合、平積みになんかなってないし、なによりカバーがビッチリとシールで覆われてしまっているから、デザインを楽しむ余地なんてない。おまけに帯もないから内容なんて想像付かない。なので、ある程度読みたい本を決めて借りに行くことが多い。
で、その時に何を参考にするかというと、朝日新聞日曜の書評とメタローグから毎年末に出る『
ことし読む本いち押しガイド』。これらは結構趣向があうのか、外すことは少ないので。
その『いち押しガイド』の昨年版で、気になっていたのがこの本。恐竜好きなので、始祖鳥という言葉にはそそられるし、何よりも大好きな中南米も舞台になっているらしい。が、上下2巻というのはなかなか購入にはいたらず……最近近所(といっても二駅先)にある図書館に行き始めたので早速借りてきた。
読み始めると、すぐに出てくるスプーン曲げ超能力青年。シマッタ、これはSF小説であったか、とちょっとガッカリするも、読み進めるとどうもそうでもない。でも……読む前の期待が大きすぎたのがいけなかったのか、手放しで面白いとはいえません。『いち押し〜』にあったように、風景の描写はうまい、特に色彩感覚がいい。読みながらその風景を想像して、そこに漂っているのはなんとも心地よい。でも人物描写はちょっと弱いかなあ。主人公はなぜこうもあちこちに行くのか、途中登場人物の男性が、女性を射殺してしまう、この辺からわからない。別の女性は密林から帰った後、人が違ったようになってしまうのだけれど、その辺も。
上下2巻ですが、上巻の方が断然面白い。なんかだんだん収拾がつかなくなって、終わったような、すっきりしなさがある。初出は「すばる」だそうだが、全面的に改稿したそうで、元の状態もちょっと気になる。
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