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「ORPHANS」
東京公演=2000年9月9日〜10月1日/サンシャイン劇場
大阪公演=2000年10月3日〜8日/大阪厚生年金芸術ホール
広島公演=2000年10月10日/広島アステールプラザ
兵庫公演=2000年10月12日/太子町文化会館
福岡公演=2000年10月14日〜15日/福岡メルパルクホール
名古屋公演=2000年10月17日〜18日/愛知厚生年金会館
新潟公演=2000年10月20日/新潟市民芸術文化会館
仙台公演=2000年10月22日/イズミティ21
観劇日=2000年9月29日
CAST=椎名桔平・伊藤高史・根津甚八
作=ライル・ケスラー/演出・台本=栗田芳宏
深夜のドラマ「BLACK OUT」を見て以来、椎名桔平ファンであります。しかしこの年になると、誰それのファン!と大きな声で言う人はあまり周りにいない。で、映画は一人で観に行くのが好きなのだけれど芝居はなかなか一人ではちょっと……。それがひょんなことから学究肌のK嬢が以外にも桔平ファン(しかも私よりもはるかにうわてだった!)であることが判明。チケットもとっていただき、晴れて見に行けることに、感謝!
チケットを事前に送ってくださるというご好意を「大丈夫」とあっさり断ったのに……実際は翌週公開(!)の映画のパンフレット作りに追われて、池袋駅から劇場まで(意外とある)走る走る走る……で、駆け込んだのは開演ベルとほぼ同時、ご迷惑おかけしました>K嬢。
舞台は赤い光と激しい息遣いから始まります。走ってきた私はまだ息がきれているものだから、その息遣いが舞台のものなのか、はたまた自分が肩で息をしているせいなのか、ごっちゃになっておかしな気分になる。
椎名、伊藤の二人が飛び出してくるのだけれども、やけに小さく見える。で、思ったのだけれども、普段観ている第三舞台などの役者さんは背が低くて顔が大きい。筧利夫など、テレビでバストアップで見ると随分と大きな人のように見えるけれども、他の役者さんと並んで全身でうつると意外と小さかったりする。けれども舞台の場合はその方がはえるわけで、スラリとした今回の役者さんたちは舞台だとちょっと存在感が弱い気がする。
芝居を観たのが9月、これを書いているのが翌年の5月……というわけで、細かいことは忘れてしまいました。物語の舞台は孤児の兄弟トリート(椎名)&フィリップ(伊藤)が暮らす家。強請るつもりでトリートが連れてきた酔っ払いハロルド(根津)は実はヤクザで、そのまま家に居着いてしまう。兄の言うことだけをきいてきたフィリップはすっかりハロルドになついてしまい、外の世界にも出ていくようになり……。
で、思ったのだけれども、私たちの感覚だと、親のいない子が恋しがるのは母親、というか子どもに社会を教える父親像っていうのがどうもピンと来ない。その辺が日本でこの作品の映画版が公開されなかった理由かも。
そのハロルドにフィリップが父親の姿を見てなついていく経過、っていうのが結構ポイントだと思うのですが、これがパラパラッと役者が舞台に出てきて一場面を演じてバタバタと引っ込んで、またパラパラッと出てきて……というのを繰り返すのでなんか落ち着かない。舞台のセットは一つなので出入りすることで場面が変わっていることを表しているのだろうけれども、バタバタと落ち着かなくてジワッと来るものがないのが残念。
でもまあ椎名桔平が見られた、というのと普段観るのとは全く違うタイプの芝居が観られた、ということもあり楽しかったです。そういえばパンフレットも超豪華。写真集みたい。でも写真にシャープネスかけすぎ、ギラギラしてちょっと怖い。
「プロパガンダ・デイドリーム」
サードステージ KOKAMI@network vol.2
東京公演=2000年5月11日〜6月2日/東京グローブ座
大阪公演=2000年6月7日〜11日/シアター・ドラマシティ
観劇日=2000年5月12日19:00開演
CAST=加納幸和・麿赤兒・大高洋夫・筒井真理子・大倉孝二・乾喜美子・旗島伸子・高橋拓自・生方和代・横塚新之介・栄島智・宮下今日子・田中貞行
作/演出=鴻上尚史
鴻上ネットワークを観るのは二度目。前回の「ものがたり降る夜」は正直あまり面白いとは思えませんでした。鴻上さんがお尻出して踊ったり、旗島さんが全裸になったり、って驚かされる場面は多かったけれど、ストーリー的にはなんか……こんなこと今さらわざわざ鴻上さんに言われなくてもいいよ、って感じでした。それが鴻上さんがロンドンから帰って最初の芝居だったから、やっぱり勢いのあるときに外国なんかに行って現場を離れちゃったらダメなんだ、と思ってしまった。ただ旗島伸子、高橋拓自の二人の役者は、その前に観たワークショップ公演「コーマ・エンジェル」に比べて格段と良くなっていたので、若い役者達が確実に育っていることを実感できたのはよかったけれども。
で、今回の第2回公演。正直、これもダメだったらもう終わりなのかもしれない、そのくらいの気持ちで観に行きました。
いつものように制作N氏にお願いして券を取っていただくのだけれど、今回はかなり早い段階から「平日にしてもらえる?」と言われてました。平日の予定なんていつも当日じゃないと判らない。なので急に行くことになったので……ごめん>N嬢。
会場は東京グローブ座。ここに来るのは初めてです。雰囲気のある良い劇場なのだけれど、新大久保って町にはちょっと場違いか? ずーっと昔、山手線の中から初めて見たときは宗教団体の建物かと思ってしまった。
芝居の内容について書いてしまうと、ネタバレにもなるし、なによりこういうものって文字で読んでも全然面白くないだろうから書きませんが、「ものがたり〜」より数倍良かった! 「ものがたり〜」はセックス論で、根が真面目な鴻上さんがこういうテーマを扱うと、やはり照れがあるのかなんか中途半端。でも今回は得意のメディア論。おまけに役者陣が素晴らしい。何といっても麿赤兒! この人を見たのは初めてなのだけれど、ものすごい存在感なのに意外と小さい。芙蓉様の役で、お付のものを四人従えて踊りながら出てくるシーンがあるのだが、もうこれは一生忘れられん、という感動でした。ずーっと前に、歌舞伎座で新水流の日舞の公演に招待されたことがあるのですが、その時のゲストが団十郎だったのだけれども、彼が出たときに舞台全体(いや歌舞伎座全体かも)の空気がさーっと動いた。それまで踊っていた人は皆その人の周りの空気しか動かしていなかったのだ、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』の言葉を借りれば、まさに「本物は違う!」と思った。その時のように、麿赤兒が手を上げただけで、ごーっと音をたてて空気が動く。指を差すと、私の席は横の方なので決して直接指を差されたわけではないのに、自分が指さされたかのように緊張してしまう。これはいつか絶対大駱駝艦の舞台を見に行かなければ、と思ったのでした。
勿論他の役者さんも良い。花組芝居の加納幸和、ナイロン100℃の大倉孝二はどちらも初めて見たのですが、とてもきちんとしていて安心してみられる加納さんと、不安にさせるキャラクター(でも決してやりすぎな感じはないのがよい)大倉さん、二人の個性が十分に生かされているような役でした。こういったメンバーの中で、やはり乾喜美子(ニュースステーションのお天気お姉さんだった人)はちょっとキビシイ。だいぶセリフが棒読み……でもまあよくやった。旗島伸子はほんとに立派になりました。ベテランの中で十分にわたりあっている。ただ、彼女、声が割れるのがちょっと難点。生方和代は松葉づえをついていたので、最初そういう役なのかと思ったら、どうも本当に怪我をしているようです。
チケット、だいぶ売れているようで入手困難な日もあると思いますが、ぜひぜひみて欲しいです。新しいサードステージの始まりなのだから。
「夢から覚めても〜今世紀最大のうたた寝〜」
泪目銀座第7回講演
東京公演=2000年3月11日〜20日/新宿・紀伊國屋ホール
長野公演=2000年3月28日/東部町文化会館(サンテラスホール)
大阪公演=2000年4月1日〜2日/梅田・シアター・ドラマシティ
観劇日=2000年3月20日18:00開演
CAST=石田ひかり・桂憲一(花組芝居)・谷川清美(演劇集団円)・朝倉伸二・柴山智加・菊池均也・石丸謙二郎・左時枝
脚本/演出=福島三郎
仕事仲間のK氏が以前から泪目銀座(ナミギン)の宣伝美術を担当しておりまして、一度見においでと言われながらも行けないまま第7回公演となってしまいました。サードステージの制作N氏も「ナミギンは面白い!」と言っていたし、脚本・演出の福島氏は最近テレビでも活躍中だし、なによりいろんな劇団のいろんな役者さんが「ナミギンの舞台は面白いから私も出たい!」と言っているというのをきいていたので、とても楽しみに出かけていったのでありました。
劇場に着いたら、ロビーは花だらけ!さすがテレビに出てる人の芝居はすごい。
が、肝心の芝居は……正直言うと私は全く入り込めませんでした。茶の間で家族でご飯を食べているときについているテレビ、みたいな感じ。部分的に面白かったりはするのだけれど、感情移入はできないし、ああ、なんかやってるな、みたいな気分でしか観ることができなかったのです。ストーリーも夢をテーマにした話なのだけれど、もっと夢と現実が入り乱れる複雑な話かと思ったら、結構単調だし。三姉妹の末っ子が、本当は親は男の子が欲しかったんだということで可愛がられなかったという理由で感情を出さない子になってしまった、っていうのも新しさがない。本筋と関係ないところで面白い顔や格好をして笑いをとったり、なんかドリフのドタバタコメディを観ているみたいでした。
あんなに面白いと言われていたのに何で?と思ったら、演劇ってお金がないのが常でして、でもってお金のあるほうに人も物も流れるのが常でして、というわけかどうかは知らないけれど、今回から制作会社が変わったらしい。その辺も関係しているのかもしれません、
ただまあ、何が面白いかは人それぞれですから、実際周りの席では大爆笑したり泣いたりしている人もいたわけで、これはあくまでも私の個人的な感想ということをご理解下さい。
で、まあちょっと否定的なことも書いてしまったわけで、実はこれ、芝居を観た当日帰ってすぐ書いたのだけれど、楽日を待ってのアップとしました。でも劇団って日々育つものだと思うから、これに懲りずまた見に行こうと思います。
「ビューティフル・サンデイ」
サードステージshowcaseシリーズ
東京公演=2000年2月9日〜16日/六本木・俳優座劇場
大阪公演=2000年2月19日〜20日/上本町・近鉄小劇場
観劇日=2000年2月12日18:00開演
CAST=長野里美・小須田康人・堺雅人
作=中谷まゆみ/演出=板垣恭一
「BookGuide」の『
ドン・キホーテのピアス』のところにも書きましたが、私のサードステージ観劇歴はあまり長くありません。「リレイヤーIII」から。というのも、それまで演劇というものに対して、ちょっとした偏見があったから。
高校の同級生のS嬢とは、別段親しいわけではなかったのですが、同じ私鉄で通学していて、電車の中で会うと話す程度の仲。色白で、小柄で、ほっぺが赤くてふっくらしていて、かわいくておとなしい文学少女でありました。そんな彼女がある日電車の中で「私、今これにはまっているの」と取りだしたのは演劇のチラシ。「ブリキの自発団」なるアヤシイ劇団名といかにもアンダーグラウンドっぽいビジュアル。おとなしいS嬢が突然熱く語り始めたものだから、私はすっかりひいてしまいました。
うむむ、演劇とはそんなに人を変えてしまうのか(大げさ)と思うことしきり、今度はテレビの深夜番組を見ていたら、「珍しいキノコ舞踊団(舞踏団だったかもしれん、詳しい方フォローを)」なる劇団が出ていた。またしてもあやしげな劇団名。おまけに彼女たちはとても楽しそうに踊っているのだけれど、観ているこちらは全然楽しくない。当時ちょっとした小劇団ブームで、他にもいろいろ出ていたのですが、どれもこれも本人たちだけが楽しそうに見えて、観ているほうはどんどんひいてしまう。でもそれにS嬢のようなおとなしい人がはまってしまうわけだから……まるでカルト(当時そんな言葉はなかったかもしれないけど)のようだ!と思い込んでしまったのでした(両劇団ファンの方お許しを)。だから、仕事でかかわることがなかったら、演劇なんて一生観に行かなかったかもしれません。
そんなこんなでサードステージの公演を観るのはもう何作目かなあ。第三舞台、鴻上ネットワーク、そしてこのshowcaseシリーズといろいろ観てきました。showcaseシリーズは毎回脚本化が変わるもので、観るのは今回が2作目。前回観た「パ・ド・ドゥ」は正直あまり好きではなかった。出演者は二人だけで、携帯電話などをうまく使って他の人物を想像させるんだけど、電話の会話だけで十分相手が想像できているのに、わざわざ後から説明したりしちゃうくどさが苦手だった。だからもうshowcaseシリーズはいいや、と思っていたのですが、今回のこの豪華キャスト。無理を言って、チケットを取っていただいたのでありました。
入り口入るとなんか並んでいる。ビデオを買うのか、すごい売れ行きだ……と思ったらなんと売り子が鴻上氏。これはいい作戦かもしれん。
幕が開くと、サードステージには珍しく、やけに具体的なセット。マンションの一室がそのままある感じで、なんか「8時だよ全員集合」のドリフのコントみたいだ(古い)。もそもそと起き出してきた小須田氏は相変わらずで、オッサンパジャマがよく似合う。次に出てきた下着姿の長野氏は……すごい老けたぞ!いやはや数年見ない間に随分と老けてしまったのですが、あのかわいい声は健在。見かけは老けても、雰囲気は相変わらずかわいい。
ストーリーを説明してしまうと、ビデオで観ようという方の楽しみを奪ってしまうからやめておくけれど、最近観たサードステージの中で一番でした。というのも最近の公演は鴻上ネットワークなど若手の役者さんを中心としたものが多くて、若手といっても、アイドルテレビドラマに出ている連中に比べれば格段にうまいのだけれどやはりなんか力が入り過ぎな感じがして、観ていると途中で疲れてしまう。でも今回の役者さんたちはさすがにうまくて、まるで実際にそういう人がいるかのようで(役もそれぞれのキャクターにぴったりだったし)とても自然に感情移入できたのでした。連れのN嬢など大泣き。普段泣くキャラクターじゃないからビックリした。結局演劇って、脚本家よりも演出家よりも、役者の力が大きいんじゃないかしら。テレビみたいにカメラワークでごまかせないし。
勿論脚本もよかったです。皆がそれぞれ悩みを抱えている。で悩みなんていうものはとっても主観的なものだから、誰かの悩みが他の誰かの悩みよりも大したことじゃない、なんてことは決してない、というのは私自身も常々思っていることだからとても共感できた。子どもの頃先生に「人の痛みのわかる人になりなさい」なんて言われたけれど、私はそんなことできないと思う。病気の時に医者に行ってどこがどう痛いのかを説明するのだって結構大変でしょう。体の痛みを専門家である医者に伝えるのだってままならないのだから、心の痛みなんて人に伝わるわけがない。だからずっと思ってきたのは、人には皆痛いところがあるっていうこと。どこがどう痛いのかわからなくても、痛みを持っていることだけには気付いてあげたい。
と、演劇の話からちょっとずれてしまったけれど、この芝居の登場人物たちは皆それぞれ悩んでいてそれらの悩みのうちのどれかは観る人の痛みにも触れてくる。痛いところに触られるのは一瞬ちょっと辛いのだけれど、でも芝居と一緒に治っていける気がします。
終わってしまった公演ですが、そのうちビデオになるんじゃないかな。showcaseシリーズは「パ・ド・ドゥ」だけすでにビデオが出ています。その売れ行きによって他の作品もビデオにするかどうか決める、みたいなことを言っていましたが、今回の公演はものすごい人気のようでしたから大丈夫でしょう。なにせ連日満席、通路は勿論、舞台の袖からも観ている人がいて、それでも入りきれずに帰った人も大勢いるとか。
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