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『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン

THE DA VINCI CODE by Dan Brown/越前敏弥=訳

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上:ISBN978-4-04-791474-2
下:ISBN978-4-04-791475-4
2004年5月
角川書店
1800円+税
上:334頁 下:318頁
四六判上製丸背
装幀=角川書店装幀室
今さらながら読んでみました。

やあ面白かった。
もっと『薔薇の名前』的なものを想像していたのですが、これはエンターテインメントだね。頭の切れる美男美女、モナリザを始めとする大人気の美術作品に、特徴ある建築物たち。そして美しい細工の小道具……と、こりゃあ映画化するしかないでしょう、という感じだし。
大掛かりなわりには一つ一つの暗号がわりと簡単な気がしなくもないけれども、ここがもっと難解になると途端に読者が減るんだろうな、きっと。
しかしエンターテインメントとして読んで、最初にある注意書きも当然「フィクションです」と書いてあるに決まっている、とろくに見ないで読んだのですが、よく見たら「すべて事実に基づいている」とあってびっくり。
まあ美術作品も、建築物も実在のものだしね、と思いきや、オプス・デイなる宗教組織まで実在するとは。当然抗議声明を出しているようですが。そりゃそうだよね、聖杯のために殺人を犯すようなカルトと思ってしまうもの。
聖杯伝説の解釈とか真偽とか、そういうことを思いながら読むと不満が残ったりするのだろうけど、キリスト教を信じる者でもなく、エンターテインメントとして読むには楽しめる本でした。
2012年01月12日(木)13:37 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『後悔と真実の色』貫井徳郎

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ISBN978-4-344-01738-2
2009年10月
幻冬舎
1800円+税
512頁/四六判上製丸背
装幀=松田行正
貫井徳郎さんの本を読むのは初めて。さとこあらさんの感想を読んで興味を持ったので。借りてはきたものの、連続猟奇殺人の本を読む気分じゃないなあ、なんて思ってたんですが、読み始めたら一気に読んでしまいました。
あの強固な呪縛から、いつか解き放たれたかった。若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔「指蒐集家」が社会を震撼させている。警察は、ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。その状況下、捜査一課のエース、西條輝司はある出来事を機に窮地に立たされていた―。これは罠なのか?被害者たちにつながりはあるのか?犯人の狙いは何か?緻密な構成で不器用に生きる男たちを活写する傑作長編。 (「BOOK」データベースより)

登場人物がそれなりに多くて、しかもほとんどが警察関係者、というわけで混乱するかと思いきや、きっちり書き分けられているのでそれほどでもない。警察が階級社会、というのはなんとなく知っていたのだけれども、こんな風に大勢での捜査会議ですら座る位置など決まっているんだなあ、と妙に感心したりもして。年功序列型の職場の人は、どんなに頑張ったところで報われないからと成果主義の職場をうらやんだりするけれどもさ、結局はこうやって足を引っ張ったり、手のうちを明かさなかったりすることになるんだよね……と、ここまでじゃないけれども成果主義の職場にいたことのある私にはなんとなくわかる。

しかしなにかにちょっと似ているな……と思ったら、最近読んだ平野啓一郎の『決壊』だ。どちらもネットが絡んだ犯罪だ。しかも猟奇的な。主人公は本書では刑事、『決壊』では容疑者、と立場は逆だけれども、どちらもとても優秀な人間である。二人とも不倫という社会的にはよろしくないことをしているわけだが、それでも悪いやつだ嫌なやつだと思えない。そして二人とも救われない……。
ややっ、文体とか心理描写とかまったく違うんですけどね。でも現代の犯罪小説からはネットやエリートは外せないってことかしら。

about bookdesign...
カバー(&表紙)は青い線で塗りつぶされたようになっていて、そこから白く文字が浮き上がっているデザイン。捜査のことを
白い紙の上を無駄足という名の色で塗りつぶしていき、最後に残った部分に犯人がいる。
と表している部分があるのだが、それを表現しているのかな。後悔と真実の色は青なんだろうか。
本文はイワタオールド。
2011年12月19日(月)15:53 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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『雑食動物のジレンマ─ある4つの食事の自然史』マイケル・ポーラン

The Omnivore's Dilemma - A Natural History of Four Meals by Michael Pollan/ラッセル秀子=訳

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上:ISBN978-4-492-04352-3
下:ISBN978-4-492-04353-0
2009年11月
東洋経済新報社
1800円+税
304頁/四六判上製丸背
たまには小説じゃない本も、というわけでEMYさんが紹介していたこの本を。
「第一部 トウモロコシ」からとにかくもう驚かされることばかりで。
ファストフードでハンバーガーにポテトにチキンナゲットにシェイク、なんて普通のメニューを食べる時、実は一番食べているのがトウモロコシだなんて誰が気付いていたか。コーン油は想像の範囲内だが、あらゆるものの原材料欄に書かれている「果糖」って、その字面から原料は果物なのかななんて思っていたけれども、実はそれはコーンシロップなのだ。それ以外にもなんだか正体を知らないままであった原材料たちも元はほとんどコーン……。
そして食べ物はあくまで食べ物だと思っていたのだけれども、トウモロコシはもはや食料ではなくて資源のようだ。次々に作り出せる資源。収穫されたトウモロコシはカントリーエレベータなる施設に運ばれて、あとは川のように行程を流れて行くだけ。遺伝子組み換え種も、そうでないものも一緒こたに、そこに入ってしまえばもう誰がどう作ったかなんて関係ないのだ。
農地をみなトウモロコシ畑にし、遺伝子組み換え種をつかってどんどん収穫量を増やす。価格が暴落するはずだが、常に一定の価格で買い取られ税金で補填される仕組みになっている。ゆえにどんどん作るし、そしてどんどん使われなくてはならないのだ。
そもそもトウモロコシは奇妙な植物で、種があんな風にまとまっていることからしてすでに自然に殖えることを放棄している。人が育て、収穫しやすい形になっていることは人間に依存しているようにも見えるけれども、そうやってどこもかしこもトウモロコシ畑になっている様はむしろトウモロコシの方が人を踊らせているようにさえ感じる。

さてそのトウモロコシは牛の餌にもなる。牛の餌って……草じゃなかったのか。いや牛の餌については狂牛病騒動の時に驚かされたはずだ、牛が牛の骨を食べているのか!と。牛は本来なら牛を食べたりしない。トウモロコシだって本来の食べ物ではないのだ。牛の胃は草を消化するためのものだから違うものばかり食べていては支障をきたす。なので牛の餌は薬まみれでもある。
どのような動物を食べるかということは、その動物が何を食べているかということほど重要ではないのかもしれない。
の言葉に考えさせられる。

あらゆる食べ物がトウモロコシからできていること。そして牛の育ち方。そういった上巻での衝撃に比べると下巻はややおとなしいだろうか。こちらでは著者が「完璧な食事」のために狩猟採集をする話が中心。

これらはアメリカの話ではある。日本では遺伝子組み換えかどうかは明記されているし、牧場に行くと牛は草を食べているように見える(でも輸入された飼料を食べてもいるはずだ)。けれどもTPP交渉の結果、遺伝子組み換えのものもどんどん入ってきて記載のないまま店頭に並ぶかもしれないよ。そもそも輸入牛たちの体はそれでできているのだし。
そして本の最初に出てきたのだが、今、1kcalの食べ物を作るために1kcal以上のエネルギーが使われているのだ。いくら価格が安いからといってどんどん食料を輸入することはそれだけ多くのエネルギーを多く使うことになる。たくさんのエネルギーを使っているのに低価格な食品たち……それは本当は何でできているのか、それはどこからきたのか、どれだけのエネルギーを使っているのか。
2011年12月14日(水)16:36 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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