『魔笛』野沢尚

ISBN-4062114577
2002年9月
講談社
1700円+税
368頁/四六判上製丸背
装幀=関口瑚
写真=DYSK
読んだことない作家の本を読もうキャンペーンの次は警察小説を読もうキャンペーン。って2冊読むとしばらくはいいという感じもするが。
野沢さんの『深紅』を読んだときには、面白かったけれどもなんかテレビの呪縛から逃れられずにいる印象だった。ドラマにしたらきっと面白い。読んでも確かに面白いのだけれども、「さあ、面白いからドラマにしてくれ」と言っているような気がして。そんなことを思っていた頃に著者が自殺して衝撃だったのだが。

本書は文句なく面白い。確かにこれもドラマ化しても面白いのだろうけれども(派手な爆発やビーズの色彩など絵的な要素もいっぱいあるし)、しかしこれは小説として十分に面白いのだ。無差別テロを起こした犯人は、確かにその行動は憎むべきものだけれども、しかしなんとも言えない魅力がある。これはきっと短いドラマでは表現できない。それがなかったらただの派手な犯罪モノにすぎなくなる。
読み終わったあとも何度もまた本を開いて、前の部分を読み返した。彼女の闇がつながっているところを求めて。

ところで、公安というものに普段接することは皆無なのだが(普通はそうだよね)、小説の中にはしばしば出てくる。本書もそうだが、他にこのサイトで取り上げた中ですぐ思いつくのは『ららら科學の子』『ブルー・ローズ』、『サウスバウンド』など(多分もっとある)。小説の中に出てくる公安はたいてい刑事部門と仲が悪く、手段を選ばないひどい組織なのだが、いくら小説の中だからといってこんな非道な書き方をされていいのか? それとも実際に……。

about book design...
犯罪モノだが、犯人の正体は読者には最初からわかっている。警察側にもすぐにわかるのだが、その手がかりとなるのがビーズ……というわけでカバーのビジュアルもビーズ。そういえばなぜ爆弾に仕込んだビーズの色は緑にしたのだろう。法衣の色だからか?
本文はLHM。
2008年08月02日(土)15:49 PINO - No comments - No TrackbacksTrackBack用URLTrackBackフォーム
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